本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、インテルの江田麻季子 代表取締役社長と、シスコシステムズの鈴木みゆき 代表執行役員社長の発言を紹介する。
「2020年に向けてインテリジェントライフを支える技術に注力したい」
(インテル 江田麻季子 代表取締役社長)

インテルの江田麻季子 代表取締役社長
インテルが先頃、事業の最新動向を説明するプレスセミナーを開いた。江田氏の冒頭の発言はその中で、今後の展望について語ったものである。
2020年を節目とした今後の同社の事業の重点ポイントについて江田氏は、「私たちを取り巻く環境は“インテリジェントライフ”という新しい時代へ向かっていく」とし、それに関する取り組みに注力していくとした。
同氏が言う「インテリジェントライフ」とは果たしてどのようなものか。「2020年には500億個のさまざまなデバイスがインターネットにつながるという時代が来る。さらにそれらのデバイスは、人間の感情やさまざまな状況の変化、そしてコンテキストなどを理解し、デバイス同士でやり取りするようになる。そうした環境に向けて新しい技術が次々と生まれ、私たちの生活はこれまで以上に安全でスマートに、かつ個人の要望を反映したものになっていくだろう」というのが同氏の見解である。
その上で、同氏はそうした「インテリジェントライフを支える技術として、「AI(人工知能)」「IoT(モノのインターネット)」「5G(次世代無線通信規格)」「AR(拡張現実)/VR(仮想現実)」「コネクテッドカー」の5つを挙げた。特に5Gとコネクテッドカーを挙げた点については、「5Gは他の技術も含めてインテリジェントライフの実現を図る基盤であり要である」「コネクテッドカーは他の技術も合わせた結晶となるものだ」と説明した。

インテリジェントライフを支える5つの技術
こうした中で、江田氏はインテルが果たす役割として、「これまでも長年にわたって人々の生活をよりインテリジェントにするハードウェアとソフトウェアの重要な機能の実現に貢献してきたことを踏まえ、現在、クラウドや数十億台規模のスマートコネクテッドコンピューティング機器の利活用を支援していく」ことを挙げた。
また、「ネットを活用した新しいアプリケーションの創出に不可欠なエンドツーエンドの5Gシステムの実現に向け、今後も重要な役割を担う」、さらに「企業や政府によるインテリジェントな未来への適応と、そのメリットの活用を促す戦略の導入を支援し、企業や組織による最新の技術動向の把握を支援する」ことも明言した。
さまざまなプロセッサをベースにほとんど全ての領域に関わっているインテルが、インテリジェントライフを支える技術として、AI、IoT、5G、AR/VR、コネクテッドカーの5つを挙げたのは興味深いところである。ちなみに、江田氏はコネクテッドカーのことを「タイヤの付いたスマホ」とも。言い得て妙だと思った。