バックアップ、データ保護という成熟市場においてVeeam Sofwareは年30%で成長するベンダーだ。日本市場への正式参入は2年前、日本法人であるヴィーム・ソフトウェアの執行役員社長兼バイスプレジデント古館正清氏は、今年は3倍成長を狙うと語る。その戦略は何か? 古舘氏に聞いた。
ーー日本市場はVeeamの中でも最も成長している市場の1つとなっています。何が受け入れられているのでしょうか?
Veeamは日本法人の立ち上げが2年前と遅かったこともあり、全体の売り上げに占める比率がまだまだ低い。通常、外資系ITベンダーで日本法人が占める比率は5%程度だが、まだそこに達していない。参入が遅れたのは、ダブルバイトという言語の問題。市場が大きいので、米国本社の期待も大きく投資している。
ヴィーム・ソフトウェアの執行役員社長兼バイスプレジデント古館正清氏
バックアップはどの企業にも必要な技術だ。そのため、企業はバックアップを新たな投資と考えないので、良いビジネス領域と言える。われわれはこの市場に対して”より投資効率の良い形でリアーキテクトすべき”と提案している。これが受け入れられている。今年の後半から、エンタープライズでも大規模な採用が増えるとみている。
ーー2017年12月の就任後、今後5年でデータ保護市場のトップを目指すと宣言しました。実現のためにどのような戦略を立てているのでしょうか?
データ保護ソフトウェア市場は250億円と言われており、そのうち半分がチャネルパートナーを経由している。そこで、1つ目の戦略として、チャネルパートナーを増やす。今年は、パートナーエコシステムを作り直す再構築の年としている。現在、ディストリビューターは3社、リセラーは約130社だが、リセラーの数を今年は3倍の400社に増やす。売り上げ目標も3倍を目指している。
2つ目として、エンタープライズ市場。これまでVeeamが入っていないところだ。グローバルでもエンタープライズを重要な戦略に掲げているが、日本は特にエンタープライズ顧客を訪問する営業がいなかった。現在、これについても組織づくりを進めているところだ。今年は大手顧客を獲得していきたい。
ーー顧客はすでに何らかのバックアップやデータ保護ソリューションを導入しています。Veeamを選ぶ理由は何になるのでしょうか?
Veeamは仮想化に強く、VMware、Hyper-Vなどと親和性が高い。仮想化のレプリケーションを必要としている顧客にパッケージとしてソリューションを提供できる。仮想化基盤の入れ替えが重要な入り口になる。仮想化基盤の入れ替えは5年に1度のサイクルで行われるが、ここでチャネルパートナーもVeeamが良いと評価していただいている。仮想化案件でVeeamを提供いただけるパートナーは増えており、400社程度にのぼっている。着任後、日本の大企業上位30社を訪問してきたが、5分の1程度の企業が仮想化基盤のリフレッシュを検討している。
バックアップの課題は、バックアップしたはずのデータが戻らないこと。バックアップを取っておくと戻ると思っている企業が多いが、8割程度の顧客から”とっていたバックアップが戻らない”という声をきく。バックアップ導入時にテストをするが、システムは年数の経過とともに変更が加わり、最初に設定していたバックアップが変更に追いついていないからだ。
企業の多くは問題に気づいているが、保険のようにバックアップを取っている、ディザスタリカバリ対策をしている、ということにしている。しかし、実際に何かあると戻らないという問題が起こっている。Veeamは”アベイラビリティ”というが、これはちゃんと戻るということを意味する。