SAPが新たなCRM(顧客関係管理)製品「C/4HANA」を発表した。ERP(統合基幹業務システム)の「S/4HANA」に続く業務アプリケーションの戦略商品だが、前途は“いばらの道”といえそうだ。
Salesforce CRMに対抗する新たなCRM製品を発表
SAPが先週、米国フロリダで開催した自社イベントでCRMの新製品として発表したC/4HANAは、インメモリデータプラットフォームのHANAをベースに、マーケティング、コマース、サービス、顧客データ、セールスといった領域のクラウドサービスを統合した製品だ。
SAPのBill McDermott最高経営責任者(CEO)は、CRMを抜本的に刷新したと強調。さらに、HANAをベースにERPのS/4HANAをはじめとして、全てのSAP製品と深く連携できることをアピールした。
C/4HANAの発表内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは同製品を取り巻く状況に注目したい。その意味では、McDermott氏の次のコメントが競合状況を物語っている。
「CRMについては、セールスオートメーションにフォーカスしている競合サービスもあるが、私たちは顧客をきめ細かく見える化することにフォーカスしている」
ここで社名は伏せながらも競合サービスと語ったのは、今やCRMの最大手となったSalesforce.comのことである。SAPが今回刷新したC/4HANAの内容は、Salesforce CRMを相当意識したものになっている。
SAPのBill McDermott CEO(出典:C/4HANAの発表に関連するSAPのサイトより)