インテルは9月11日、IoT(モノのインターネット)に関する事業戦略説明会を開き、動画像データからディープラーニング(深層学習)解析による推論を容易に得られるようにするためのツールキット「OpenVINO(Open Visual Inference & Neural network Optimization)」の無償提供を開始したと発表した。
OpenVINOの概要
OpenVINOは、エッジなどの分散型コンピューティング環境において開発者が各種の人工知能(AI)技術のフレームワークを活用しながら、AIモデルの構築や学習などが行える。IntelのCPUやFPGA(Field Programmable Gate Array)、視覚処理ユニットの「Movidius」などとも組み合わせることができ、汎用的なハードウェアプラットフォームを推論処理のためのアクセラレータに利用できる点が特徴だとしている。
米Intel IoT事業本部副社長兼ビジョン・マーケット・チャネル事業本部長のJonathan Ballon氏
記者会見した米Intel IoT事業本部副社長兼ビジョン・マーケット・チャネル事業本部長のJonathan Ballon氏は、ネットワーク接続されたカメラやセンサからのデータを深層学習技術で解析することにより得られる洞察が、製造や防犯、小売、物流などあらゆる業界で活用されると述べ、同市場が2025年までに350億ドル規模以上になるとの見通しを述べた。
この分野では、汎用的なGPGPUなどのハードウェアを用いられるが、今回の施策はハードウェアを含む同社のアプローチを広げる一環となる。Ballon氏は、Inelがエンドポイントからエッジ、データセンターに至るまでの広範なポートフォリオを持つと強調し、「現在のAIの活用はクラウドが主戦場だが、分散型コンピューティングアーキテクチャによって今後はオンプレミスにも拡大する。こうしたシーンでIntelは、1ワット当たり、あるいは1ドル当たりといった指標の観点からも優れたコンピューティングリソースを提供できる」とコメントした。
OpenVINOは、既に一部のユーザー企業が導入効果を検証しており、例えば、GEヘルスケアでは画像医療診断で生産性を6倍に向上させたという。同社では、ユーザー企業およびハードウェアベンダー各社とのアライアンスを拡充させ、OpenVINOの普及を加速させたい考え。Ballon氏は、今後OpenVINOをオープンソース化させる方針や新たなハードウェア対応なども予定していると紹介した。