Oracleの創業者兼最高技術責任者(CTO)であるLarry Ellison氏は米国時間10月22日、カリフォルニア州サンフランシスコで開催中の「Oracle OpenWorld 2018」の基調講演で、大規模なデータベースワークロードを抱え、「Amazon Web Services」(AWS)の代替となる選択肢を求めている顧客に向け、自社クラウドの魅力をアピールした。
Oracleのクラウド事業は依然として競合他社の後塵を拝している。しかしEllison氏は基調講演で、エンタープライズでの利用のことを特に考えて作り出されたセキュリティと自動化機能を提供しているクラウドプロバイダーはOracleだけだとし、以下のように主張した。
「他社もクラウド製品を昔から提供しているものの、それらはエンタープライズのことを考えて設計されているとは言い難い」(Ellison氏)
「Generation 2 Cloud」は既に同社のパブリッククラウド上で提供されており、2019年には同社の製品として最も支持されている「Oracle Cloud at Customer」向けにも提供が開始される予定だ。Ellison氏によると、Generation 2 Cloudで最も重要なのは、自律型データベースだという。
Ellison氏はクラウド大手のAWSに照準を合わせ、Oracleの自律型データベースを、AWSが開発中だと伝えられている半自律型データベースと比較した。同氏は半自律型データベースを半自動運転車になぞらえて説明した。
同氏は「運転席に座り、運転すれば死ぬことになる」と述べたうえで、Oracleのデータベースであれば「本当の自動運転車だ。誰も死んだりはしない」と続けた。
Oracleがクラウドに舵を切って以来、Ellison氏はAWSへのライバル意識をことあるごとにむき出しにし、エンタープライズにとってはOracle製品の方が優れている主張してきている。ただOracle製品はクラウド市場において依然として、AWSや「Microsoft Azure」「Google Cloud」に後れを取っている。
Gartnerの予測によると、クラウドプロバイダーにとっては今後の数年が勝負になるという。同社は最近、80%の企業が2025年までに従来のデータセンターを閉鎖すると予測した。現時点で従来のデータセンターを閉鎖している企業の割合がわずか10%だという点を考えると、これは衝撃的な予測だ。Oracleでクラウドインフラの製品戦略担当バイスプレジデントを務めるKyle York氏が米ZDNetに語った内容から察すると、Oracleは大規模なデータベースワークロードを抱えている顧客を獲得できると確信しているようだ。
York氏は「クラウドネイティブな企業は、10年にわたってクラウドの導入を推進してきている」と述べたうえで、「われわれは、エンタープライズがそれほど迅速に動くのをまだ目にしていない。エンタープライズは完全に信頼を置けると確信できるクラウドをまだ見つけ出していない」と述べた。