構築はおまかせ
前回まではネットワークの基本的な構成を説明してきた。これまでの内容はかなり簡略化した形で説明してきたものであるにも関わらず、もうお腹いっぱいという人も多いのではないだろうか。そう、ネットワークサービスは構成する要素の組み合わせによりさまざまな形で提供できることがメリットでもあり、デメリットでもあるのだ。
それなら餅は餅屋にまかせるのがいいだろう。ネットワークサービスを求めるのはネットワークを使って何かをやりたい人々である。それでは一体、何をやりたいのだろうか。ネットワークを利用する人にとって一番重要なのは、この点を整理できているかどうかということではないだろうか。
例えば自社のウェブでEC(e-commerce)サービスを提供したいとしよう。さまざまな理由から自社でサーバやデータセンター(DC)を用意できない、テレビCMを放映したときなどの急激なアクセス増加に耐えられる仕組みがほしいなどの理由でクラウドを利用することにした。
従って、そのクラウドからインターネットに接続する回線がほしい。回線が切れると売り上げの損失が大きくなるので切れることがあってはならない。サーバ内にログインできるのはセキュリティ対策上、自社ネットワーク内からのみにしたい。トラブル時に緊急対応したいので、モバイル環境から自社ネットワークに入れる仕組みがほしい…ということを整理しておかなくてはならない。
それに対し、ネットワークサービスを提供する通信キャリアは次のように提案するはずだ。
「それではご利用のクラウドに対してインターネット接続可能なサービスは○○です。こちらは自社回線と他社回線を利用でき、お申し込みは当社から一括で行えます。さらにこちらのクラウドと閉域網で接続するサービスも用意しております。こちらを活用すれば御社のネットワークとクラウドを安全に接続可能です。こちらの閉域網サービスはモバイルゲートウェイも用意しており、モバイル環境からも接続できます」――といった具合だ。
提案された組み合わせがコスト・内容ともに満足のいくものであればそれでいいが、そうでない場合もあるだろう。そのときにこれまで紹介した知識が役に立つ。例えば、「閉域網だとコストが見合わないのでインターネットVPNが使えないだろうか」――そういうことが聞けるようになるわけだ。