今さら聞けないネットワーク回線の基礎

第6回:マルチキャリア、マルチプロトコル、ラストワンマイル

飯田哲也 (アルテリア・ネットワークス) 2018年11月20日 07時00分

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マルチキャリア

 「FTTH」という言葉を知っているだろうか。FTTHはFiber To The Homeの頭文字を取った言葉であり、通信キャリアのアクセスポイントから各家庭まで光ファイバを直接引き込むというネットワーク構成を表す言葉だ。2001年、NTT東日本、NTT西日本はBフレッツサービスとしてFTTHを開始した。そこからFTTHは急速に普及することになる。

 今日最も広い範囲にFTTHが浸透しているのはNTTのフレッツだ。たいていのオフィスや家庭にはフレッツを引いてくることができるだろう。しかもかなり近くまで敷設されていることが多いので、開通も早い。それならば、アクセスネットワークとしてはNTTのフレッツを使用し、そこから自社のコアネットワークにつなげたらどうだろう。

図版1
  • メリット
    ・広い範囲がカバーできる
    ・納期が早い
  • デメリット
    ・多くの人が利用しているので輻輳(ふくそう)の可能性が高い

 このように自社のコアネットワークと他社のアクセスネットワークを組み合わせるサービスを提供する通信キャリも存在する。このようなサービス提供形態をマルチキャリアと呼んだりする。

 自社のアクセスネットワークだけではどうしても全ての範囲をカバーすることは難しい。それならばフレッツを代表とする各通信キャリアのアクセスネットワークも使い倒してしまおうというわけだ。

マルチプロトコル

 さらにいえば、アクセスネットワークは何も光ファイバがなくとも構わない場合もあるだろう。

 携帯電話の無線アクセス網(LTE網)は、各社とも人口カバー率はほぼ100%に近い。今すぐに通信を開始したい。フレッツの納期がいくら早いとはいえ、それも待っていられないという人に、まずはこのLTE網を活用して通信を開始するのもいいだろう。

図版2
  • メリット
    ・(機器さえあれば)すぐに通信が開始できる
    ・(ある程度)どこでも通信できる
  • デメリット
    ・光ファイバの通信に比べて不安定

 積極的に別の通信手段を使おうという話もある。例えば、最近流行っているIoT(モノのインターネット)の場合、コストの高い通信手段を使うと全体として収支が取れないという懸念がある。そこで活用されるのがLPWA(Low Power Wide Area)といわれる通信手段だ。例えば、次の通信規格が挙げられる。

  • NB-IoT(Narrow Band-IoT)
  • LoRaWAN(Low-Power Wide-Area Network)
  • SIGFOX

 これらの通信手段はなるべく消費電力を抑え、遠距離通信を可能とするものだ。それによりコストを抑えたサービスが実現できる。

 このようにアクセスネットワークはその用途に適した通信手段を選ぶことが重要だ。このようなサービス提供の形態をマルチプロトコルと呼んだりする。

図版3

まとめと次回予告

 ここまでネットワークの基本的な構成を説明してきた。WANサービスという大きな概念において、インターネット接続、閉域網VPN、専用線という回線そのもののセキュリティに応じたサービスがあることが分かった。それらのサービスはコアネットワーク、アクセスネットワークという基本構成でできていることが分かり、さらに用途に応じてアクセスネットワークにはさまざまな通信キャリア(マルチキャリア)や通信プロトコル(マルチプロトコル)を活用できることが分かったと思う。

 これらを自分自身で考えていかなければいけないのだろうか。それはそれで骨の折れる話のように思える。そもそも本当にやりたいことはネットワークを活用したその先にある。次回は、そこをサポートするマネージドサービスなどの紹介をしたい。

飯田哲也(いいだてつや)
アルテリア・ネットワークス エキスパート・エンジニア
1973年生まれ。PlayStatoinシリーズの開発に関わりハードウェアおよびソフトウェアの基礎技術を会得。PlayStation2の開発においてはPS1互換エミュレータのメインプログラマーを務める。その後、台湾楽天市場のプロデューサー兼プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)としてウェブサイトの構築と運用を担当。アドテクノロジのベンチャーを経て、楽天でんわおよび楽天モバイルの立ち上げに技術担当として携わる。

2016年からアルテリア・ネットワークス。レジスタからクラウドまでソフトウェアの多くのレイヤに関わった経験と、ゲーム・電子商取引(EC)・アドテクノロジ・電話・インターネット接続事業者(ISP)と多くの業界を渡り歩いた経験をもとに技術やプロダクトのリサーチ・マーケティング業務を担当。現在に至る。

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