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AWSとAzureの次はGoogle Cloudにも対応--DelphixのクックCEO

國谷武史 (編集部)

2019-05-01 06:00

 データベース仮想化ソフトを手掛けるDelphix Softwareは、クラウド移行を進める企業の開発環境で支持を集める。同社のプレジデント兼最高経営責任者(CEO)を務めるChris Cook氏は、「多くの日本企業が『データカンパニー』に変化しつつあり、当社において最も高い成長を遂げている日本市場への投資をさらに強化する」と話す。

 デジタル変革を背景に、企業ではデータとテクノロジーを駆使した新規事業の迅速な立ち上げと展開が大きな課題だ。開発と運用の両輪で推進しなければならないが、スピード重視の開発と安全重視の運用は本質的にかみ合わないという見方もある。そこで同社は、本番環境とDelphixサーバーの間でデータを同期させ、Delphixサーバーにコピーした本番環境さながらのデータをすぐに開発環境へ適用できるソリューションを提供する。

Delphix Software プレジデント兼CEOのChris Cook氏(左)と日本アジア太平洋地域 セールス担当ヴァイスプレジデントのRichard Gerdis氏
Delphix Software プレジデント兼CEOのChris Cook氏(左)と日本アジア太平洋地域 セールス担当ヴァイスプレジデントのRichard Gerdis氏

 2008年創業のDelphixは、金融や製造、保険、通信、流通を中心に約300社の顧客を持つ。顧客数で見れば数千、数万規模というITベンダーは幾つも存在するが、同社の場合は大企業顧客が目立つ。クラウド化、DevOps、データベース移行といった基幹系システムをめぐる流行と課題において、本番環境に影響を与えず、鮮度の高いデータを開発やテストに利用できるスピード感がユーザーの支持につながっている。

 「さまざまなステークスホルダーが関わる(基幹系などの)システムは非常に複雑で、それを迅速かつ高い品質でもって新しい環境にするのは容易ではなかったが、そこに当社のソリューションが貢献できている。リフト&シフト(オンプレミスなどの従来型システムをクラウドなどに移行する取り組み)は徐々に主たる目的ではなくなりつつあるが、クラウドへの移行は最低でも5~10年を要する“旅路”であり、当社として引き続きしっかり取り組まねばならない」(Cook氏)

 クラウドにおけるパートナーシップは、これまでAmazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azureで強力な関係を築いてきたという。2つのメガクラウドサービスは、世界中で企業ユーザーを獲得しているが、第3の勢力としてGoogle Cloud Platform(GCP)の存在感も増しつつある。Cook氏は、「現時点は世界で使われるデータタイプの75%、クラウドサービスの75%をサポートしている。GCPへの対応も進めており、2019年夏にはベータ版を、2019年下期には一般提供をできるようにしたい」と話す。

 同社が注力するテーマは、DevOpsの推進とクラウド移行への対応、そして、データプライバシーおよびセキュリティーだという。DevOpsやクラウド移行は現在のビジネスの中心だが、Cook氏は、欧州のGDPR(一般データ保護規則)など規制強化が進む中で、データのプライバシーやセキュリティーがテーマになると見ている。

 また日本市場では、アクセンチュア、アシスト、伊藤忠テクノソリューションズ、コムシス情報システム、インサイトテクノロジーがパートナーとなり、引き続き事業強化を図る。「日本を最重要市場と位置付けており、人材を含め投資を拡大し、パートナーやユーザーとの関係を深めていく。これはCEOである私のコミットだ」(Cook氏)

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