Appleの最高経営責任者(CEO)Tim Cook氏は米国時間6月3日、同社の年次開発者会議「Worldwide Developers Conference(WWDC)2019」の初日に、ハードウェアとソフトウェア、サービスというキーワードで基調講演を実施した。
以下では、今回のWWDCで発表された内容を紹介するとともに、それらが重要である理由を解説する。なお、ソフトウェアアップデートのパブリックシード版は7月に、正式版は今秋に提供される予定だ。また、ベータ版は近々提供されることになっている。
iPadOS
Appleのソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントであるKevin Federighi氏は、「iPad」が独自の地位を築き上げたため、「このプラットフォームを特別なかたちで評価する時がきた」と述べた。
ここでのポイントは、iPadと、「Slide Over」や「Split View」、ドラッグ&ドロップ、ペンシルといった機能が、独自のアプローチに従ったマルチタスキングツールになっているという点だ。
確かに、「iPadOS」にはUSBドライブの接続や、ダウンロードマネージャーといった、企業に歓迎されるような機能が盛り込まれている。
ここで、マルチタスク能力の向上によって、iPadOSが最終的に「Mac」のOSに進化していくのかどうかという疑問が頭をもたげてくる。Federighi氏は今回、大きなヒントとなる発言をした。それは、iPad上で稼働する「Safari」では「デスクトップ並みのブラウズ体験」が可能になるというものだ。
これらを考え合わせると、ノートPCの代替としてiPadをアピールするというAppleの動きがより現実的なものになったと言える。今後の疑問は、iPadOSがどこかの時点で「macOS」になるかどうかだ。
その重要性
iPadOSがビッグニュースとなる理由は、それによって新たな展開の下地が整うためだ。将来的にMacのプロセッサがArmになる可能性もあるかもしれない。そういった動きはiPadOSによってはるかに容易なものとなる。