Salesforceは米国時間6月18日、「Customer Data Platform」(CDP)の概要を説明し、同社の包括的な「Customer 360」戦略のロードマップについての詳細を明らかにした。
CDPによって同社は、データ管理プラットフォーム(DMP)として知られているカテゴリを再定義しようとしている。この分野は、Salesforceの「Audience Manager」、Oracleの「Data Cloud」と「Blue Kai」、Adobeなど各社のサービスがひしめきあっている。
ほとんどのDMPはマーケティングを第一に考えているが、SalesforceのCDPは企業とその機能のすべてを網羅しようとしているようだ。Customer 360の計画は「Dreamforce 2018」で概要が発表された。CDPはその次世代のものとなる。
次世代のCustomer 360プラットフォームサービスは11月にパイロット版が一般提供が開始される予定だ。
CDPには核となる2つの機能がある。1つ目は、デジタルやメッセージング、広告、デバイス、対人という観点での顧客エンゲージメントに関するものだ。2つ目は、セグメント化やパーソナライゼーション、同社の人工知能(AI)エンジン「Einstein」によるアナリティクスを含む洞察に関するものだ。
SalesforceのCDPは外部のデータソースをMuleSoftを通じて統合し、クラウド上でドラッグ&ドロップできるようにする。CDPの特長は以下の通りだ。
- 顧客プロフィールの充実に向けたデータの統合と同意の管理。このデータには、チャネルをまたがる既知/未知のデータ(クッキーやファーストパーティーのID、同意など)が含まれる。
- リアルタイムのデモグラフィックデータや過去のエンゲージメントデータ、その他のすべての顧客データを用いたオーディエンスのセグメント化。
- マーケティングチャネルやコマースチャネル、サービスチャネルを横断した、パーソナライズされたエンゲージメント。
- エンゲージメントとプロフィールに基づいたEinsteinの最適化。最適化ツールによってエンゲージメント戦術が推奨される。
Salesforceは、「Marketing Cloud」と「Commerce Cloud」のアップデートについても発表した。Marketing CloudのアップデートにはEinsteinのAIを利用して、電子メールマーケティングを強化し、複数のデジタルチャネルでリターンを向上させる狙いがある。
Marketing Cloudの電子メールマーケティングは新たに以下の通り強化されている。
- 「Einstein Engagement Frequency」:顧客への電子メール送信頻度をAIによって判定し、顧客を不快にさせることなく、エンゲージメントを高める。
- 「Einstein Send Time Optimization」:マーケティング電子メールを送信する最適なタイミングをAIによって予測する。
- 「Einstein Content Tagging」:マーケターの保有する大量のライブラリーコンテンツから、画像のタグ付けを行うツール。
- 「Transactional Messaging」:購入確認や発送通知、決済関係の警告、アポイントメントの通知などの見過ごされやすいメッセージに焦点を当てる。その狙いは、取引関連の電子メールとモバイルメッセージをプロモーションキャンペーンと統合するというものだ。
「Commerce Cloud」に対するアップデートとしては以下のものが発表されている。
- 「Commerce Page Designer」:ローコードでのコマース用ウェブページのデザインとスケジューリングを可能にする。
- 「MuleSoft Accelerator for Salesforce Commerce Cloud」:コネクテッドな顧客体験をこれまでにないほど素早く生み出せるようにする。
- 「Heroku Solution Kit」:モバイルアプリや、店舗ページやストア内で使用するコマースアプリを構築する際のブループリントを提供する。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。