IBMがセキュリティー事業において、ユーザー企業やパートナー企業との共通利用環境を目指した新たなプラットフォームを打ち出している。果たして、どんな思惑があるのか。同事業の責任者であるMary O'Brien氏が来日したのを機に話を聞いた。
パートナーエコシステムを生かしたセキュリティープラットフォーム
「IBMは企業が必要とするセキュリティー製品・サービスのほぼ全てのポートフォリオをカバーしており、世界133カ国で5000人を超える専任スタッフが活動している。売り上げ規模は2018年で30億ドルを超え、前年に比べて2桁成長を果たした。企業向けセキュリティ- では世界最大規模の事業体として、今後もお客さまのご要望にしっかりと応えていきたい」
まずはIBMのセキュリティー事業の現状について聞いたところ、同事業部門のゼネラルマネージャーを務めるO'Brien氏はこう答えた。「企業向けセキュリティー事業では世界最大規模」というのがポイントだ。すなわち、同氏はどのセキュリティー専業ベンダーよりも事業規模の大きい組織のトップなのである。(写真1)
写真1:IBMのセキュリティー事業部門ゼネラルマネージャーのMary O'Brien氏
ただし、「企業が必要とするセキュリティー製品・サービスのほぼ全てのポートフォリオをカバー」してはいるが、自社製品だけでなく、むしろ200社を超えるビジネスパートナーの製品・サービスを取りそろえたパートナーエコシステムを形成しているのが、IBMのセキュリティー事業の大きな特徴である。
そのパートナーエコシステムを生かして顧客企業に最適なセキュリティーソリューションを提供するために、IBMは2018年10月、「IBM Security Connect」と呼ぶオープンなセキュリティープラットフォームを米国で発表した。
当時の発表内容によると、IBM Security Connectは「最先端のAI(人工知能)を活用し、オープンなフェデレーテッド技術を基盤とする、これまでにないセキュリティークラウドプラットフォームで、以前はつながっていなかったツールや環境を横断してセキュリティーデータを分析することができる」ものだ。
また、そのセキュリティーデータを「顧客企業およびセキュリティー専業ベンダーをはじめとしたパートナーエコシステムと統合利用することで、サイバー犯罪を防ぐチームの効率とコラボレーションを向上させることができる」とも説明している。