セキュリティ要員の燃え尽き症候群は組織に脆弱性をもたらす--CISOへの調査

Danny Palmer (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2019-07-10 06:30

 ロンドン大学ゴールドスミス校とサイバーセキュリティ企業Symantecが英国とフランス、ドイツをまたがり、3000人を超える最高情報セキュリティ責任者(CISO)とサイバーセキュリティの意思決定者を対象にある調査を実施した。それによると、サイバー脅威から組織を守るための責任者に対するプレッシャーが高まることで、さまざまな問題が首をもたげてきているという。

 同調査によると、サイバーセキュリティ要員のうち3分の2近くが、こういったプレッシャーにより、退職を考えた(64%)、あるいは業界から去ることを考えた(63%)という。

 業界がスキル不足に直面するというのも問題だが、サイバーセキュリティの仕事に疲弊した人々の一部がダークサイドに落ち、自らの能力を悪用するという可能性も否定できない。

 SymantecのEMEA(欧州、中東、アフリカ)担当最高技術責任者(CTO)Darren Thomson氏は米ZDNetに対して「既にスキルを身に付けており、セキュリティ関連の話題を好んでいるうえ、どこか他の分野に進みたいと真剣に考えているのであれば、彼らはどこに向かうのだろうか?おそらくは、データアナリティクスなどの分野になるかもしれない。しかし、ごく一部の人たちは犯罪に手を染めようとするだろう」と述べた。

 同氏は「お金になるのは確かであり、それはわれわれも分かっている。しかも、必要となるスキルセットは本質的に同じだ。こういった人々は防御側の立場を理解しているため、今までで最も恐ろしいサイバー犯罪者になる可能性がある」と述べるとともに、「63%のうちのたった1%だったとしても、憂慮に値する」と続けた。

 サイバーセキュリティ要員の離職という脅威を抜きにしても、調査対象者の半数弱(44%)は自社のセキュリィティチームには企業が直面している脅威、特に進化し続けている脅威と戦っていくうえで必要なスキルが欠けていると回答している。

 脅威とそれに対抗するためのスキルが変化していると気付いているにもかかわらず、セキュリティ関連の要員のうちほぼ半数は、忙しすぎて必要なスキルを獲得できないと述べており、技術の変化が速すぎて適応できないという回答もほぼ同数ある。

 一方、サイバーセキュリティ要員らのほぼ半数は、攻撃者が犯罪組織や国家を後ろ盾にしたハッキングチームなどの、豊富なリソースを有するグループからの支援を受けて、優勢になりつつあると身をもって感じている。

 また、攻撃者に身を転じるうえで、自らスキルを証明する必要がないという点もある。サイバー犯罪者らは、サイバーセキュリティ要員のようにある種の技量を有していることを示す認定資格を得る必要がないため、すぐさま非合法ビジネスを手がけ、取り組んでいけるようになっている。

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