松岡功の一言もの申す

「世の中を変える気概で挑め」--IIJ鈴木会長が次世代へメッセージ

松岡功

2019-07-25 09:52

 「日本企業は特定の領域でもいいのでプラットフォーマーになってやろうとの気概を持ってほしい」――。こう語るのは、インターネットイニシアティブ(IIJ)の鈴木幸一会長だ。日本のICT業界のご意見番と目される同氏がこのメッセージに込めた意図は何か。

インターネットは世の中の仕組みを変える技術革新

 鈴木氏の冒頭の発言は、IIJが先頃開いた記者懇談会での講演のひとコマである。ここ数年、毎年恒例の講演として、1992年にIIJを創業して日本にインターネットを導いた立役者の一人である同氏がICT市場を俯瞰した見解を語るとあって、2019年も多くのメディア関係者が耳を傾けた(写真1)。

講演を行うIIJの鈴木幸一 代表取締役会長CEO
講演を行うIIJの鈴木幸一 代表取締役会長CEO

 同氏はまずインターネットについて、「私がインターネットに興味を抱いたのは、その技術の中身より、この技術を活用すれば世の中の仕組みを変えるような革新を起こすことができると思ったからだ。例えば、ICT分野だけを見ても、情報処理と通信はかねて別々に発展してきたが、インターネットの出現でこれらが1つの技術の上で動くようになり、クラウドコンピューティングが登場して、いろいろな仕組みが変わる原動力になっている」との見方を示した。

 ただ、インターネット上でさまざまなことができそうなイメージが広がり始めた頃、鈴木氏も目を見張る技術が出現した。それが、Googleの検索技術である。「Googleは大量のデータを集めてそれらをさまざまなニーズに応じた形で解析し、その結果を素早く提示するというインターネットの活用法を生み出した。この検索技術は瞬く間に広がり、グローバルスタンダードになっていった」と、同氏は振り返った。

 さらに、こう続けた。

 「その技術を応用して、Facebookに代表されるようなSNSも大きく広がっていった。ひょっとしたら、日本の企業でも当時、インターネット上での検索やSNSのような発想は生まれていたかもしれない。ただ、その後、日本でもインターネットの利用は浸透したものの、グローバルスタンダードになるような技術やサービスは生まれてこなかった。その状況は今も変わらない」

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