本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、米QualcommのCristiano Amon プレジデントと、日本ヒューレット・パッカードの西村淳 取締役常務執行役員の発言を紹介する。
「5GはDXの進展へ非常に重要な役割を果たす」
(米Qualcomm Cristiano Amon プレジデント)
米QualcommのCristiano Amon プレジデント
米Qualcommの日本法人クアルコムジャパンが先頃、米QualcommのCristiano Amon(クリスティアーノ・アモン)プレジデントが来日したのを機に、次世代通信規格「5G」に関する取り組みについて記者会見を開いた。 Amon氏の冒頭の発言はその会見で、5Gとデジタルトランスフォーメーション(DX)の関わりについて語ったものである。
スマートフォン向け半導体大手のQualcommは、5Gへの対応にも力を入れており、注目されている。Amon氏は、5Gについて「いよいよ現実のものになってきた」と語り、高速大容量通信を実現する5Gが「これまでの通信規格と比べても最も大きなインパクトを世の中にもたらすことになる技術だ」と明言した。
具体的に、5Gで何が起こるのか。Amon氏は、これまでもIoTによって「あらゆるものがつながる」と言われてきたが、5Gではそれが本当に当たり前の世界になり、「これまでできなかったことができるようになる」と述べ、冒頭の発言のように、とりわけDXの進展に重要な役割を果たすと強調した。
その最大のポイントとして同氏が挙げたのは、「5Gによってデータを無制限に使えるようになること」。また、「一般的な目から見て、5Gはスマートフォンの使い勝手が広がることから、まず変化を感じるだろう。ひいてはあらゆる産業に変革をもたらすものになり得る」とも語った。
そして、改めて5Gがもたらすこととして、図に示したように「モバイルブロードバンドのパフォーマンスが飛躍的に向上する」「ミッションクリティカルサービスが可能になる」「高速大容量のIoT環境を実現できる」といった3つを挙げた。
5Gがもたらす3つのこと
そうした5Gについて、Amon氏は「5Gの特長をどれだけ生かしていくことができるか。それがこれからは国ごと、産業ごと、企業ごとの競争力の重要なポイントになる」と指摘。「日本にとっても製造業をはじめとしてグローバルで競争力を保持している産業について、5Gでさらにどのように強くしていくか、真剣に取り組んでいく必要があるだろう」と語った。
会見の最後にAmon氏は、「2019年はまさしく“5G元年”。2020年から広く普及していくだろう。競争はますます激しくなるだろうが、当社は先頭に立って5Gの世界を牽引していけるようにがんばっていきたい」と力を込めた。同氏が言ったように、筆者もさしずめスマホの使い勝手から5Gを感じ取ってみたい。