米政府は米国時間3月12日、米国防総省(DoD)が進める100億ドル(約1兆1000億円)規模の「JEDI」(Joint Enterprise Defense Infrastructure)クラウドプロジェクトの受注に関する問題で、提案内容を一部見直した入札をDoDがAmazon Web Services(AWS)とMicrosoftから受ける権利を米連邦請求裁判所に求めた。同裁判所は2月13日に、JEDIプロジェクトに関するMicrosoftの業務を一時的に差し止める決定を下していた。Microsoftは2019年10月にこの契約を勝ち取っていたが、3月12日に米連邦請求裁判所に提出された書類によると、DoDはここに至って一部入札条件の見直しを模索しているようだ。
書類によると、DoDは特に価格に関する条項の見直しを模索している。米政府は、DoDによる意思決定の一部見直しに向け、この問題をDoDに120日間差し戻すよう求めている(DoDが提出した書類を投稿してくれたFederal News Networkに感謝したい)。
書類には、AWSは反対しており、反論を提出する計画だと記されている。一方、Microsoftは反対していないという。筆者は両社にさらなるコメントを求めた。
Microsoftのコミュニケーション担当コーポレートバイスプレジデントであるFrank Shaw氏は声明で以下のように述べている。
「われわれは、契約を受注した時点でDoDが正しい決定をしたと確信している。しかし、いくつかの要素について再検討するという彼らの決定は、すべての懸念を解消し、必要とされている近代的なテクノロジーを米軍の人々に早急にもたらす上で最も迅速な手段であると考えられるため、われわれはその決定を尊重する。このプロセスを通じて、われわれはDoDのニーズを聞き取り、最善の製品を調達し、調達プロセスを遅延させないようにすることに専念してきた。われわれは今になってこのアプローチを変更するつもりはない」
「DoDは2年にわたって数十にも及ぶ大小取り混ぜた要件についてレビューしてきた上で、あらゆる要件でMicrosoftがAWSと同等、あるいはそれ以上という評価を下した。われわれの提案が技術的に勝っており、今後も最高の価値をもたらし続け、それがDoDにとって適切な選択だという点をわれわれは確信している」
AWSの広報担当者は、「DoDがJEDI入札時の決定に影響を与えた『多くの、そして合理的な懸念』を認めるとともに修正が必要だとした点をわれわれは歓迎する。われわれは政治的な影響力から完全に切り離された再評価と、初期の誤った決定に影響を与えた数多くの懸念の是正による、完全かつ公正、効果的な是正策を期待している」と述べた。
DoDは特に、ストレージソリューションの価格が含まれている「Price Scenario 6(価格シナリオ第6項)の技術的観点の評価」を再検討したいとしている。
JEDIの入札プロセスが進む過程で、多くの人々はAmazonが契約を勝ち取るだろうと考えていた。そしてプロセスの終盤には、この単一ベンダー独占契約をめぐって争う企業はAmazonとMicrosoftの2社に絞られていた。Googleは2018年10月に入札プロセスへの参加を取りやめ、OracleとIBMは2019年4月に要件を満たしていないとして選に漏れていた。しかし、DoDは8月にJEDIプロジェクトの契約プロセスを一時中断すると発表した。中断が発表される前には、このプロセスで利害関係が衝突する可能性について、Donald Trump米大統領が不満を表明していた。Amazonの最高経営責任者(CEO)Jeff Bezos氏はThe Washington Postを保有していることなどから、Trump米大統領は政治的な頭痛の種としてBezos氏に矛先を向けてきた。
JEDIプロジェクトの目的は、DoDのレガシーなシステムを新しいクラウドサービスでアップグレードすることだ。当初の提案書では、「『JEDI Cloud』は、エンタープライズレベルの商用IaaSとPaaSを、DoDやDoDのすべての業務やミッションの運用に関わるミッションパートナーに提供する」と説明されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。