MicrosoftとC3.aiは一流の公立・私立大学と提携し、企業、政府、社会のデジタル変革推進に重点を置いた、新たな研究コンソーシアムを立ち上げた。
「C3.ai Digital Transformation Institute(C3.ai DTI)」というこのコンソーシアムは、人工知能(AI)、機械学習、IoT、ビッグデータ分析、ヒューマンファクター、組織行動論、倫理、公共政策に焦点を当てた共同研究を行う。最初の取り組みとして、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抑制や、AIを用いた将来のパンデミック緩和のための知識や技術の発展について取り上げた、研究提案を募集する。
C3.aiはこのコンソーシアムを支援するために、最初の5年間で5725万ドル(約63億円)の現金を寄付する。さらに、C3.aiとMicrosoftは「C3 AI Suite」および「Microsoft Azure」のコンピューティング、ストレージ、技術リソースなど、3億1000万ドル(約340億円)相当を提供する。
C3.ai DTIは、カリフォルニア大学バークレー校とイリノイ大学アーバナ・シャンペーン(UIUC)校が共同で管理、ホストする。他にも、プリンストン大学、シカゴ大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)、カーネギーメロン大学、そしてUIUCの国立スーパーコンピューター応用研究所が参加する。
コンソーシアムは世界中の優れた科学者を支援し、資金を提供する計画だ。毎年10万〜50万ドル(約1100万〜約5500万円)の賞金を最大26件提供するほか、Azure CloudとC3 AI Suiteのリソースを無料で利用可能にする予定だ。
またC3.ai DTIは、データ分析プラットフォームをホストし、研究やカリキュラム開発、教育を支援する。さらに、年次カンファレンスや年次レポート、ニュースレター、公開された研究、ウェブサイトなどの支援に年間75万ドル(約81億円)を提供する。
Siemensの会長Jim Snabe氏は声明で、「これは多国間での協業を基にした、世界的なイノベーションであり、研究者が実世界のデータと膨大なリソースを利用できるようにして、AIのプラスの影響を加速させるものだ」とし、「現在の重要な問題に対処するには、まさにこのような多国間の官民パートナーシップが必要だ」と述べている。
コンソーシアムは年2回、研究提案を募集する計画で、初回はCOVID-19を取り上げる。研究対象として受賞の可能性があるトピックとして、COVID-19パンデミックの感染拡大を緩和する機械学習やその他のAI手法の応用、ゲノムに特化したCOVID-19医療プロトコル、生物医学情報を用いた医薬品の設計およびリポジショニング、公衆衛生戦略を策定するためのロジスティクスおよび最適化の分析などがある。
第1回の提案書募集は、5月1日が締め切りとなっている。選定された提案書は6月1日に発表される。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。