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富士通の組織再編、背景にアクセンチュアへの脅威?

田中克己

2020-04-14 07:00

 「アクセンチュアを恐れているのではないのか」――。業界関係者は富士通の時田隆仁社長が3つの事業会社に大きく分ける理由をこう読む。デジタル化の取り組みで先行するアクセンチュアが富士通ユーザーらのデジタル案件を受注したり、同社に転職する従業員が増えたりしているからだという。伝統的なシステムインテグレーション(SI)と異なるビジネス展開を脅威と感じ始めているからかもしれない。

 そこで、富士通本体はグローバルと大型SIの事業に集中し、収益基盤の顧客と市場を守る。その一方で、7月に地域担当の新会社を立ち上げる。富士通マーケティング(FJM)が担当する中堅企業に加えて、自治体や教育機関、医療機関向けの組織を統合し、おそらく市販のITサービスや部品を組み合わせたソリューションなどのパッケージ型ビジネスを展開するのだろう。大型SIと地域を担当するシステムエンジニア(SE)や営業は、異なるスキルを求められるからだ。

 3つめは、4月に本格的に事業を開始したDX(デジタルトランスフォーメーション)化に応える新会社のRidgelinez(リッジラインズ)だ。IT部門ではなく、経営層や事業部門にアプローチし、新規顧客と新規市場を開拓する役割を担う。アジャイルなど開発手法も従来とは異なる。複数の関係者の話から筆者の見方をまとめた。

大型SIと地域、デジタルの3社体制による顧客対応

 3社体制にする背景には、デジタル化を求める顧客ニーズの高まりがあるだろう。営業の責任を含めたあり方を変える狙いもあるだろう。もちろん、数千人の国内営業がIT部門らの要求に応えてきた。だが、デジタルによる新規事業の創出や事業構造変革に関する提案を実現してきたかだ。システム構築を担うSEが提案する手があるが、富士通関係者は「SE子会社の組織再編などがあり、基幹など既存システムの再構築に手一杯の状況」と推し測る。

 そこに、アクセンチュアが台頭し、先進的な顧客のデジタル化案件を受注していく。転職するSEもいる。地域SE子会社の統合・再編や生産工場の撤退などから、地域における活動課題も表面化する。例えば、富士通が力を注いでいた福島県会津若松市におけるスマートシティー構想を、アクセンチュアらが積極的に支援していること。しかも、アクセンチュア日本法人は大手企業から官公庁・自治体などへと市場開拓を広げて、年平均2000人程度を採用し、従業員数は約1万4000人にもなる。

 アクセンチュアの存在感が国内でもどんどん増している。経営コンサルティングから業務改革支援、システム構築・運用までを一貫して手がける世界最大のITサービス企業になった同社の売り上げは約4兆8000億円(1ドル110円換算)、営業利益率14.6%、従業員約43万人になる。対して、富士通の売り上げは4兆円弱、営業利益率3.3%、従業員約13万人である。営業利益率に大きな差がある。

 そうした中で、富士通は大型SIと地域、デジタルの3社体制で製販を一体化し、営業のあり方も変える。富士通はこれまでも営業とSEの組織を一体化したり、分離したりを繰り返してきたが、SE出身の時田社長は一歩踏み込んで、経営トップへデジタル提案のできるコンサルタントに営業を変身させたいのだろう。富士通サービスなど英国に約2年間、駐在した時田社長は、欧米IT企業との違いが分かってきたこともあるだろう。営業の方が経営へのアプローチに長けているとの見方もあるが、ある富士通関係者は「顧客のトップを接待したり、表敬訪問したりする営業や役員は必要ない。御用聞きの営業も不要だ」と、くぎを刺す。

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