本当に人気のあるOSはどれなのだろうか。この問いに対する答えは、OSをどう見るか、誰が評価を行うかによって変わる。例えばNetApplicationsの調査によれば、デスクトップOS市場の首位は相変わらず圧倒的に「Windows」で、88.14%のシェアを占めている。それよりも問題は、Linuxのシェアが、3月には1.36%だったにも関わらず4月には2.87%まで急上昇しているように見えることだろう。Linuxデスクトップの人気が急上昇したのだろうか。
それは考えにくい。筆者自身はこの記事を「Linux Mint」のPCで書いているし、BashがLinuxのデスクトップインターフェースだった時代(KDEやGNOMEではなく)からLinuxデスクトップを使っている。
Linuxデスクトップは、一部のニッチな分野では普及しつつあるようだ。Canonicalの最高経営責任者(CEO)Mark Shuttleworth氏は2019年に、「Linuxデスクトップのサポートを購入する企業が増えている。それらの企業は、人工知能(AI)エンジニアのために大量のUbuntuデスクトップを導入しようとしている」と述べている。これは朗報だと言えるだろうが、AIや機械学習の開発者の数はそれほど多いわけではない。
大局的に言えば、LinuxデスクトップがWindowsに取って代わる最後で最大のチャンスは、2020年の初めに「Windows 7」のサポートが切れた時だったのだろうが、その機会も失われた。Linus Torvalds氏その人が指摘した問題は、今も残ったままだ。Torvalds氏はかつて、「私は今でも、すべてのディストリビューションに共通の、標準化されたデスクトップあればよかったのにと思っている」「ベンダーによる違いがデスクトップの普及を妨げている部分があることは、個人的に気に入らない」と述べている。
StatCounterなどの利用OSに関する統計を取っている他のサイトでは、Linuxの人気に大きな変化は見られない。StatCounterではむしろ、3月には0.78%だったLinuxシェアが、4月には0.7%に減少している。
NetApplicationsとStatCounterはどちらも加工したデータしか公開しておらず、生データにはアクセスできない。生データを参照したければ、連邦政府のデジタル分析プログラム(DAP)のデータを利用するしかない。
DAPは、米国政府が運営するウェブサイトの過去90日間のアクセス統計を提供している。このデータでは世界的なOSの利用状況は分からないものの、米国で使われているOSについては、もっともよい情報が得られるだろう。
そのデータを見る限り、WindowsはデスクトップOSとしてはナンバー1だが、もっともよく使われているエンドユーザー向けOSからはほど遠いことが分かった。本稿執筆時点で米国でもっとも人気があるOSは、「iPhone」などで使われているAppleの「iOS」で、約32%の利用者に使用されていた。