IBMは米国時間8月28日、自然言語処理(NLP)と人工知能(AI)によってテニスの世界大会である全米オープンのファンに新たなデジタルエクスペリエンスをもたらすと発表した。
2020年の全米オープンは、新型コロナウイルスの影響により無観客で実施される。IBMは全米テニス協会(USTA)のパートナーであり、これまでにも全米オープンで同社のテクノロジーを活用しているが、その多くは縁の下で支えるものとなっていた。2020年には、すべてのエクスペリエンスがオンラインベースになるため、これまで以上に活躍の場が見られることになるかもしれない。
IBMとUSTAは、自然言語処理と「Watson」を利用し、複数のクラウドのデータセットから、USOpen.orgとUS Openアプリで新たなデジタルエクスペリエンスを創出している。デジタルデザインエージェンシーのIBM iXがこの新しいソリューションを実現している。
またUSTAは同日、Zoomと協力し、全米オープン定番のカクテルに関するチュートリアルや、有名人との交流を含むホスピタリティーイベントを実現する「VIP Experiences」を提供すると発表している。
IBMは、全米オープンが無観客試合になると決まってからの75日間で、以下のようなエクスペリエンスを開発したという。
- 「Open Questions with Watson Discovery」:この機能により、USOpen.orgでファンたちの議論を活性化させる。Open Questionsは「Watson Discovery」のNLP機能を用いてテニス関連のデータを、その構造化有無にかかわらず分析し、賛否の質を評価することで議論のサマリーを生成する。また、ファンたちはそれらに対して意見を共有できるようになる。
- 「Match Insights with Watson Discovery」:この機能により、試合に先立ってAIによる洞察を提供する。Watson DiscoveryのNLP機能を用いて過去の試合に関する記事や意見、統計を検索し、その意味を理解した上で、分かりやすい文章形式で洞察を提供する。
- 「AI Sounds」:これは2019年の全米オープンで記録された数百時間にも及ぶ動画を分析し、試合会場内の観客の歓声を再現するというものだ。観客の歓声は試合や状況に基づいて適切なものとなる。
この全米オープン用のインフラはハイブリッドクラウドと「Red Hat OpenShift」を活用し、データセットとフィード、リモート運用を組み合わせたものとなる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。