FacebookとGoogleが一部出資する海底ケーブル敷設プロジェクト「Pacific Light Cable Network(PLCN)」で、米ロサンゼルスと香港を結ぶ計画が撤回された。
米連邦通信委員会(FCC)に新たに提出された計画では、PLCNが運用する総延長1万2800kmの海底ケーブルは、米国、台湾、フィリピンだけを結ぶことになっている。
すでに1万3000km近い海底ケーブルが敷設済みだが、この通信ケーブルの運用を開始するにはFCCの認可が必要だった。PLCNを運営する企業らが新たに提出した申請書類では、米国、台湾、フィリピンを結ぶネットワークに関してのみ認可を求めており、香港を結ぶ経路の認可は求めていない。
当初の計画では、PLCNは香港とロサンゼルスを直接結ぶ海底ケーブルを提供する予定だった。この接続は米国と香港を結ぶ6本のファイバーペアで構成されており、一部のペアには台湾やフィリピンへの分岐が含まれていた。
このケーブルネットワークの所有権は3つの企業で共有されており、Googleが台湾への分岐を持つ1ファイバーペアを所有し、Facebookがフィリピンへの分岐を持つ1ファイバーペアを所有している。また香港企業のPacific Light Data Co(PLDC)が残りの4ペアを所有し、香港側の陸揚げ当事者になっていた。
ところが6月、「Team Telecom」と呼ばれる米司法省の評価委員会がFCCに対し、香港に直接陸揚げされる海底ケーブルシステムの運用を認めないよう勧告を出した。中国政府が過去に米国市民の情報を取得する意図を示していることから、中国領内に上陸する海底ケーブルを認可することは、米国の国家安全保障や法執行の利益にならないという。
それにより、GoogleとFacebookはプロジェクトの計画を一部修正せざるを得なくなった。FCCに提出された最新の申請書類では、PLDCが所有するファイバーペアは運用しないと明言している。
Googleの広報担当者は、「PLCNのケーブルシステムに関する当初の申請を取り下げ、システムの米国~台湾間および米国~フィリピン間の部分に関する部分だけに修正された申請を再提出したことは事実だ。われわれはすでに確立されているチャネルを通じて、海底ケーブルの陸揚げ許可を得るための作業を続ける」と述べている。
FCCのGeoffrey Starks委員は国家安全保障上の懸念が優先されるべきだとして、「私はそれらの懸念を共有しており、今後も声を上げ続けるだろう。FCCはわが国の通信トラフィックの安全とセキュリティを確保する必要がある」とツイートした。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。