戸田建設は、全国の作業所を中心とした派遣社員を含む全社員(約5600人)に向けて「Dropbox Business Enterprise」を導入する。
戸田建設では、作業所において物理サーバー(NAS)と「G Suite」を併用する環境を構築していたが、特定サービスのアカウントを利用する必要があり、また一部の取引先や協力会社とは各社のポリシーによって社外共有ができないといった課題があった。そのため、同社情報システム部門では基本的に社内利用のみを推奨していた。
Dropboxの導入により、取引先や協力会社とのデータ共有を安全に行うとともに、自宅や外出先など、どこからでも必要なデータにアクセスできる環境を構築できた。インターネットがつながる場所であればどこからでもデータへのアクセスが可能となり、工事現場にいながらにして「iPad」で常に最新版の図面や資料を確認することが可能となった。また工事現場のみならず在宅勤務中や出張中であっても、事務所で使用しているデータがそのまま使用できることやオフラインモードの利用により、ネットワークが著しく悪い環境下でも資料の更新ができることも、働き方改革につながる大きなメリットとなるという。
Dropboxの利用イメージ(出典:Dropbox Japan)
なお、同社では、オンラインのドキュメントツールである「Dropbox Paper」や、オンラインの共同作業場である「ropbox Spaces」を用いて、オンラインでの共同作業を積極的に推進している。今後は、既存の社内ITシステムとDropboxをAPIで連携することで生産性向上をさらに加速していくとしている。
新しいクラウドサービスの製品選定は2019年4月頃から検討を開始したが、大容量データを取り扱う部署で評価した方が効果測定に最適だとの判断から、数十GBのファイルも扱うことがあるBIM(ビルディングインフォメーションモデリング)運用部門で評価を実施した。
その結果、電波のつながりにくい場所でもダウンロードエラーが起こりにくいなど、20GBを超えるBIMファイルの同期速度や操作性についても高い評価が得られたことから、Dropboxの採用に至ったという。
外部とのデータ共有ではURLリンクによるデータ共有やフォルダーに対して閲覧権限を与えるということもできるため、データ送付作業を軽減できるという。また社内外に対して、フォルダーごとに細かく編集権限および閲覧権限を付与できるため、相手によって閲覧できる資料を限定したり、逆に共同で施工図を編集したりする使い方も可能となる。
さらに建設プロジェクトにおける図面や資料の最新版管理では、フォルダーを社外の人間も閲覧できるようにしておけば、他の場所にいる設計事務所の担当者や現場で作業中の協力会社職長など、誰でも同時に最新版の図面が見られるようになった。
またDropboxを導入したことで、同社では、新たに着工した新規作業所における物理サーバーの設置を全て取り止めた。今後は、稼働中作業所においてもDropboxへのデータ移行を進め、物理サーバーの撤去を行う予定だ。また、海外現地法人や営業所などにも順次展開していくなど、海外プロジェクトでもDropboxを積極的に活用していく予定だ。