Microsoftは5月、サードパーティーの開発者らによる「Microsoft Teams」エクスペリエンスの拡充というビジョンの実現に向けたさらなる取り組みを発表した。こうした取り組みによってTeamsは、よりカスタマイズ性を高め、よりコンテキストに軸足を置いたものになり、他のデジタルツールとの統合が進む結果、効率と使い勝手の向上がユーザーにもたらされることになる。
同社はTeamsで成功を収め続けており、機能の強化や追加を矢継ぎ早に実施している。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックをきっかけに世界で起こったリモートワークへのシフトを主に足がかりとして活用し、Teamsが活躍できる分野での弾みをつけた。Microsoftは2018年にTeamsの開発プラットフォームを発表しているため、これは新たな決定とは言えないものの、同プラットフォームは現在では成熟段階に達し、大規模なサードパーティー開発者オーディエンスを擁するようになってきている。
コラボレーションツール自体をソフトウェアプラットフォームに据えるという過去の取り組みが功を奏していない事実を目にしてきている一部の業界ウォッチャーらにとって、Teams自体を完全なプラットフォームにするという同社の決定は戸惑いを覚えるものであるかもしれない。また、自社におけるTeams利用を成功させるという責任を負っているコミュニケーションチームやITチームにとって、このコンセプトは支持しにくいものであるはずだ。
特に後者の点は興味深い。というのも、企業におけるほとんどのコラボレーションツールに責任を持つ人たちは、そういったツールをおおむね特定の問題に対するソリューションとして見ているためだ。サードパーティー製品との統合が必要になるというのは、訓練やサポート、ガバナンスという観点で見た場合、管理面での手間や複雑さが増すだけなのだ。筆者はかなり以前から、サードパーティー製品との統合に関する話をデジタルコラボレーション分野のリーダーたちとしてきているが、彼らの多くは先に述べた理由で、サードパーティー製のアプリやエクステンションについてあまり乗り気ではない。