マイクロソフト「Azure」に複数の新サービス--衛星データ処理が可能な「Azure Orbital」など

Mary Jo Foley (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2020-09-23 14:36

 この1年間、Microsoftは「Azure」のレジリエンスや容量の強化について繰り返し情報を発信してきた。ところが、市場分析情報を提供しているGartnerは、2020年9月に発表したクラウドインフラストラクチャーおよびプラットフォームサービスのマジッククアドラントのレポートで、「Azureの全体的なアーキテクチャーと実装に関する懸念」を示した。Microsoftはこのカテゴリーのベンダーの中で、もっともリージョン数に対する可用性ゾーン数の比率が低く、可用性ゾーンモデルに対応しているサービスも限定的だとGartnerは主張している。

 Microsoftは、オンラインで開催されているITプロフェッショナル向けカンファレンス「Ignite 2020」で、こうした問題の一部を解決する発表を行った。同社は9月中に、可用性ゾーンを利用できるリージョンを2つ追加する(カナダ中部とオーストラリア東部)と述べた。これで、可用性ゾーンが利用できるリージョンの数は14になるという。

 可用性ゾーンは、災害復旧や事業継続性を重視するユーザーにとって重要な機能であるだけでなく、MicrosoftとAmazon Web Services(AWS)のクラウドの差別化や定義とも深く関わっている。Microsoftは、Azureはパブリッククラウドベンダーの中でもっとも世界的な施設規模が大きく、発表済みのものも含めると、世界で展開しているリージョン、発表されているリージョンは60以上に及ぶと主張している。ただし、MicrosoftはAzureのリージョンを「待機時間で定義された境界内でデプロイされ、低遅延の専用リージョンネットワークを使用して接続された一連のデータセンター」と定義しているのに対して、AWSはリージョンを2つ以上のアベイラビリティゾーンで構成している。

 Igniteでは、ほかにもAzureのデータセンター関連の発表があった。「Azure Resource Mover」と名付けられた新サービスは、Azureのリージョン間で複数のAzureリソースを移動させるためのもので、現在パブリックプレビューとして提供されている。

 さらに同社は、「Azure Orbital」を発表した。これは、衛星運用事業者に対して地上衛星通信施設などへのアクセスを提供する新サービスだ。このサービスは現在プライベートプレビューの段階にあり、衛星運用事業者は、Azureでデータの処理や分析を行ったり、Azure Orbitalが提供する地上局のアンテナに対するアクセスのスケジューリングを行ったりすることができる。

 CNBCが9月の初めに報道したように、この新サービスは、Amazonが2018年に発表したサービス「AWS Ground Station」の競合サービスにあたるようだ。

 Microsoftはまた、企業が従業員にあらかじめ承認したソリューションを提供するための社内向けマーケットプレースを設けるためのサービスである、「Private Azure Marketplace」について発表している。この新サービスは、「Microsoft Store for Business」の後継サービスではなく、既存の「Azure Marketplace」の新機能として位置づけられているようだ。コンピューティング、ネットワーキング、セキュリティ、人工知能(AI)、IoTなど、さまざまなカテゴリーのアプリケーションやサービスが含まれるとみられる。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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