人工知能(AI)、ビッグデータなど先端的なITのビジネス活用が進むなかで、さらに一歩進めるために何ができるだろうか――。その解を出すべく日立製作所(日立)は4月1日、イノベーション創出拠点「Lumada Data Science Lab.(LDSL)」を設立。データ活用の専門家“データサイエンティスト”のトップ人材約100人を集めたという。
7月11日には社内外約30人が参加するオンラインハッカソンを初のイベントとして開催。社内外のコラボレーションを通し、社会問題を解決するイノベーション創出を模索した。
Lumada事業拡大を狙うLDSL
日立は、AI、データアナリティクスといった変化が激しいIT分野の最新動向を捉えるとともに、産業機械などで活用してきた制御技術(Operational Technology:OT)を含めたこれまでの知見と技術を連携、ノウハウとともに提供する「Lumada」事業を展開している。ITとOTを含めた同社の総合力で社会、顧客の課題を解決するというものだ。
そんなLumada事業の拡大、推進をミッションとするLDSLは、IT研究者のほか、OTのエンジニア、事業部などのビジネスに近いコンサルタントといったトップ人“財”をトップデータサイエンティストとして結集。
撮影のためマスクを外していただいたLDSLラボ長の影広氏
日立製作所 研究開発グループ デジタルテクノロジーイノベーションセンタ メディア知能処理研究部 部長 兼 人工知能ラボラトリ長で、LDSLラボ長を務める影広達彦氏は「グローバルで複雑、多様化する課題に対応するためには、技術に敏感な研究者だけでなく、多様な視点で物事を捉えたり、新たな発想が必要」と狙いを説明。
空港のセキュリティ向けに開発した、人の行動認識技術の設備監視への転用など、技術に異なる観点を加えて実ビジネスに結びつける実績も上がっているという。
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多様な視点、新たな発想は社内だけに留まらない。拠点を東京都国分寺市の中央研究所にある研究開発拠点「協創の森」内、2019年3月竣工の「協創棟」3階に設置。
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「社外の人が、自分たちの課題を持ち込んで、日立と協創して解決」というビジョンを具現化すべくオープンに共創できるよう設計、同研究所が26年ぶりに新設した社屋だ。
世界中のパートナー企業や先進のスタートアップ企業、大学からの共同研究者、インターンシップなどの外部知見を積極的に受け入れてオープンに共創する「オープンイノベーション」でのサービス価値向上を目指しているという。
オープンな共創で、新たなアイディアを生み出せるという協創棟(出典:日立)
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