シスコシステムズは10月8日、2021年度の事業戦略についてオンライン説明会を開催。日本における事業戦略と重点分野、さらに2021年とその先を見据えた取り組みを明らかにした。併せて、「日本のデジタル化支援」に関しても説明した。
シスコシステムズ 代表執行役員 社長のDave West氏
代表執行役員 社長のDave West氏は、日本法人が「CISCO's Country of the Year」を2年連続で受賞したことを紹介。日本でのビジネスがグローバルでも高く評価されている理由として、「顧客のためにパートナーとともにしっかりと実行できたこと」「顧客のビジネス革新を支援するための適切なソリューションやテクノロジー」「自社のビジネス変革を含む、日本のデジタイゼーション/働き方改革に対する真摯な注力とコミットメント」の3点を挙げた。
続いて、同社のビジネス変革について紹介した。具体的には、「ハイブリッドクラウド・ワークスタイル」を支援するための開発、投資を積極的に行うとともに、顧客にエンドツーエンドのソリューションを提供するために必要となる「クロスアーキテクチャ・ソリューション」を加速させることに取り組んでいるという。
シスコ自身のビジネス変革の取り組み。ソフトウェアの売上比率が高まり、さらにソフトウェア売り上げの大半がサブスクリプションに移行しているという
また、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた形でイノベーションを提供するために「リカーリング(Recurring)・オファー」についても積極的に投資しており、さらに日本市場向けにパートナーやサービスプロバイダーを通じて提供されるマネージドサービスの提供能力の拡大にも取り組んでいる。
こうした取り組みの成果を具体的に示す数値として、同氏は「昨年(2019年)の売り上げの30%はソフトウェアによるもので、さらにソフトウェア売り上げの70%はサブスクリプションによるものだった」という。年次での比較では、ソフトウェア売り上げに占めるサブスクリプションの比率は、2018年度が50%、2020年度は78%になったといい、急速にサブスクリプションへの移行が進んでいる状況だ。
2020年度の重点戦略は「お客さま、パートナーとの関係性深化」「日本のデジタイゼーション」「ライフサイクル全体のエクスペリエンス」の3点だったと振り返った同氏は、2021年度の重点戦略として「私たちが目指すもの“日本のインクルーシブな未来のために”」というテーマを掲げた上で、「お客さまの『ニューノーマル』への対応」と「日本のカントリーデジタイゼーション」の2点を挙げた。
2020年度の同社の重点戦略と主な成果。「Country of the Year」を2年連続で受賞という成果から見ても、昨年掲げた目標は高い水準で達成されたものと見て良さそうだ
具体的な取り組みとして、同社自体を「働きがいのある最高の職場にする」(同氏)とした。これは、人材と企業文化を重視する姿勢の表われであるとともに、顧客企業の“変革”を支援していくためにまず自社で経験やノウハウを積み、かつ“変革後の姿”を具体的に示す意味があるものと思われる。
次に、「プラットフォーム・ベース・サービス」の提供強化が挙げられている。これは、リカーリングやマネージドサービスを重視する姿勢とも関連し、同社のソリューションがプラットフォームベースになっていくという変化を示すものだ。これらを基礎として据えた上で、コロナ禍の先の「ニューノーマル」に日本全体/顧客企業を対応させていくためのデジタル化に注力していくのが2021会計年度の事業戦略となる。
最後に同氏は、こうした取り組みの先にある目標である「日本のインクルーシブな未来のために、同社のテクノロジーやさまざまなイノベーションを通じて貢献していきたい」とした上で、「この目標は簡単に達成できるようなものではないが、全力でコミットしていく」と強調した。
2021年度の同社の重点戦略。コロナ禍を踏まえ、まず自社が「働きがいのある最高の職場」であることを目指すという点が興味深い