コロナ禍でリモートワークが進む
コロナ禍の緊急事態宣言下においては、多くの企業がリモートワークを余儀なくされました。これは地域の事業者も同様で、生活に必要不可欠な“エッセンシャルワーカー(医療、福祉、小売店、物流、役所、インフラ関係などの従事者)”を除いて、リモートワークを導入した企業が多くありました。
地域の場合、ネットワークなどのインフラは首都圏とほぼ遜色なく整備されている上、家が広いため、特に問題なくリモートワークを実施していた印象です。
2020年4~5月は、筆者も含めた営業部隊はオンラインミーティングで、すべてのお客様との打ち合わせを行うことになりました。2020年10月時点でも状況はほぼ同じで、おおよそ90%がオンラインミーティング、10%が訪問営業となっています。
顧客はオフィスに出社しており、オフィスの会議室から複数人でオンラインミーティングに参加することが多いです。自動車で通勤するなど首都圏と比較して3密状態を避けやすく、出社を基本としている企業が多いようです。
なお、営業やサポートでオンラインミーティングを活用する流れは、今後も続いていくと思います。移動時間の短縮など効率のよさを双方が実感しており、定着に向かっていくでしょう。海外との取引がやりやすくなるなどの効果もあり、要所要所でオフラインを取り入れつつ、積極的にオンラインを活用するようになると思います。
政府の取り組みがDX推進を後押し
地域では以前から人材不足などの課題があり、生産性向上の必要性が訴えられていました。コロナ禍による環境の急激な変化に加え、一部の業界、業種では業務量が減り、時間にゆとりができつつあります。この積年の課題に対してデジタル化で取り組もうとしている企業が増えています。菅政権が2021年に予定しているデジタル庁の新設、押印制度の撤廃に向けた動きなどがあいまって、地域にデジタル化の波が迫り、DXへの理解も徐々に浸透し始めています。
特定の個人に業務が依存する属人化という従来からの課題についても、データを活用した業務変革で解決しようと具体的に動き始めている企業もあります。
DXのステップは、まずはデータの蓄積、次に蓄積したデータの可視化、そしてデータの利活用と進みます。これまで紙や属人的な管理となっていた情報をまずはデジタルデータで蓄積するということを、初めの一歩としておすすめしています。
さて、次回は、地域の人材不足という課題を解決する上でも重要になる、オンラインによる人材教育を中心に取り上げます。
(第4回は12月中旬にて掲載予定)
- 伊藤 靖(いとう やすし)
- セールスフォース・ドットコム
- コマーシャル営業 執行役員 広域営業本部 本部長
- ハードウエアIT企業のインサイドセールスマネージャー、営業企画、アカウント営業を経て2008年セールスフォース・ドットコムに入社。以後12年間インサイドセールスの組織運営に従事。 2010年から主にエンタープライズ向けの新規開拓型のチームを作り、案件創出を強化。 2020年2月から、広域営業本部、西日本支社、中部支社担当。