ワークフローとは、業務を円滑に進めるために“どういう判断を、誰が、いつするのか”のルートを設計し、回していくこと。このワークフローをITで支援する製品やサービスはいくつもある。
コラボスタイル代表取締役社長の松本洋介氏
「皆さんシステムを導入するとき、機能表に○×を付けたりしませんか? あれは、難しいです。どれだけスムーズにできるかがわかりません。頑張ってできても、すっとできても○になるところがリスクです」(松本氏)
「機能的にできる」ということは重要なことだが、注意しなければならないという。そこでワークフローを選ぶ際のポイントの1つが「現実的にできる」ということ。簡単にできるか、操作性がいいか、繰り返して改善をしやすいか、などをチェックする必要がある。
2つ目のポイントが「サポートが充実している」だという。ワークフローを専門に扱っている企業なのか、顧客満足度はきちんと取れているのか、カスタマーサクセスの仕組みがあるかどうか、が重要になる。
コラボスタイルが提供するコラボフローは、星野リゾートやエーザイ、京阪バス、東急、弘前大学、明治などに導入され、継続利用率が99.55%という。この継続利用率が、クラウドサービスを選ぶ際に重要な指標になる。
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「うちの会社には謎ルールがあって苦しんでいるんだというようなことを聞きますが、過去の慣習や風土、制度にはそうすべきそれなりの理由があります。ここをまず見つめることをオススメします」(松本氏)
そこで大切なのが、現実解。絶対にこうすべきと決めてしまうと、選べるサービスが限定されてしまい、価格も折り合わなくなってしまうからだ。今の運用をなるべく変えずにできるか、というのをポイントして選ぶべきだという。
また、今は答えがない時代なので、アジャイル的に会社のツールをよくしていく必要があると説明。70点のクオリティでどんどん改善サイクルを回して行くと、早くリリースでき、現場の声が聞けるようになる。これは会社の制度や風土に関しても同じことが言えるという。
とは言え、「紙にもいいことがある」と松本氏。それは、雑談がしやすいから。上長の方が部下よりも情報を持っていないことが多いが、紙の場合は対面で渡すときに話ができる。このように、ワークフローは申請と承認だけでなく、事前のネゴや根回し、重い相談、軽い雑談などが存在しているのだ。
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「人には責任が付いて回りますが、責任は取らされるものだと考えたくはありません。責任は果たすものだと思います。責任で大事なことは、3つあります」(松本氏)
1つ目がなぜこれをあなたにお願いするのかという「説明責任」。それが腹落ちすればいいが、そうでないなら質問するという「質問責任」が2つ目。3つ目の最後までやり遂げるという「遂行責任」が大事だと松本氏は語る。
ワークスタイルの未来に必要なことは、失敗を許容する風土作りが一番大事だという。そして、失敗を未成功として受入れ、アジャイルで成功イメージへ近づけていくことが必要となる。
「過去の慣習に何となく引っ張られないように未来を拓く決断ができるのは経営者、経営陣だと思います」と松本氏は締めた。
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「謎ルールにも意味がある」「失敗は未成功」といった柔軟な考え方は現場にとってやる気の出るメッセージだ。厚生労働省のテレワーク普及政策「テレワーク宣言応援事業」において、2020年度のテレワーク宣言企業として選出されたコラボスタイルによる紙からの脱却についてのセッションは説得力があった。ハンコや紙といった課題解決だけでなく、これからのワークフロー選びや企業風土に関する内容は多くの企業にとって有用なアドバイスとなるだろう。