電子インボイスを通じて、国内外の取引相手とデジタルの請求書をオンラインでやり取りできるようになる。ペーパーレスに加えて、業務プロセスの自動化などにつながるとともに、請求や支払い、記帳や申告といった業務を効率化しながら正確な処理も可能といったメリットが期待されている。
業務系クラウドサービスのメリット
業務のデジタル化ですぐさま活用できるのが、業務系のクラウドサービスだ。業務に活用できるクラウドサービスは顧客情報管理システム(CRM)や営業支援システム(SFA)、経費精算、勤怠管理や人事労務、給与計算、決算など枚挙に暇がない。
2019年時点で日本のスマートフォンの保有率が67.6%となっており、消費者はデジタルでの取引を求めるようになっていて、消費者との接点もデジタル化が進みつつある。そうした状況下で企業の業務プロセスがデジタル化されていないのは、もともと多くのムリやムダが蓄積されていたということでもある。
紙をベースにしてはいないものの、スマートフォン登場以前の古い、オンプレミスの業務システムでは、外部環境の素早い変化に追随できないのは当たり前の話なのだ。業務プロセスの迅速化を図るならば、業務系クラウドサービスの活用をぜひ検討すべきだ。
業務部門自らアプリケーションを開発
業務系クラウドサービスは基本的にカスタマイズできない。「あと、こういう機能があればいいのに」「同じクラウドサービスで処理したいが、別のクラウドサービスを使わざるを得ない」という要望には応えきれない。そうした点で活用できるのが「ローコード/ノーコード開発」や「ノンプログラミング開発ツール」だ。
ローコード/ノーコード開発は、主にIT部門を対象にしたものであり、「システムの設計情報を定義すると、設計情報をもとにソースコードを生成したり、もしくは設計情報に基づいてシステムを実行環境で動作したりでき、ソースコードを生成する工数を限りなく少なく、またはゼロにできる」ことを狙っている。背景にあるのは、開発スピードを上げて、システムを実業務にできる限り早く投入することにある。
一方のノンプログラミング開発ツールは、IT担当者も使えるが、非IT部門でも業務アプリケーションを開発できることが基本的な概念だ。ITの専門的な教育や訓練を受けていなくてもアプリケーションを開発できる“シチズンデベロッパー”を前提にしている。
ここでいうノンプログラミング開発ツールは、古くは「FileMaker」「UnitBase」「CELF」などであり、最近でいえば、「kintone」「AppSuite」などである。これらに注目するのは、自らの業務を知っているのは業務部門であり、業務部門が必要な機能を自らアプリケーションに落とし込めるからだ。IT部門に頼らないことで、業務のシステム化の速度を上げることができるというメリットを獲得できる。
拡大するRPA
業務プロセスの迅速化という視点では、自動化も重要なポイントであり、自動化という視点では、コロナ禍以前から日本企業に浸透しつつあるロボティックプロセスオートメーション(RPA)が注目に値する。
さまざまな業務がシステム化されているが、人間の手を動かさなければならない、システムとシステムの間を埋める“スキマ仕事”もまだまだ存在している。この仕事をデジタル化するのがRPAだ(ちなみに、世界と日本ではRPAに対する意識が異なる)。