MicrosoftのプレジデントBrad Smith氏は米国時間1月13日、「CES 2021」での講演の中で、歴史上の2つの教訓について話した。1つ目はJohn F. Kennedy大統領が月面着陸を目指すことなどを宣言した有名な演説の中の一節についての話であり、2つ目の話題は、80年代の映画「ウォー・ゲーム」が、コンピューターセキュリティに関する初めての国家安全保障決定令にどのような影響を与えたかについてのものだった。
MicrosoftのプレジデントBrad Smith氏
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これらの話を通じてSmith氏が伝えようとした大きなメッセージは、人間は自らが生み出した技術をコントロールし続ける必要があるということだ。また、同氏の2つ目の呼びかけは、サイバーセキュリティに関するものであり、全世界が行動規範を定め、それを遵守する必要があるという内容だった。
Smith氏は、SolarWindsの製品に対する攻撃は、どんな規範に照らしても許容される振る舞いではなかったと述べた。
「これは、私たち全員が守るべきグローバルなサプライチェーンに対する世界的な大量無差別攻撃だった」と同氏は述べた。「このような危険はこの世界にあってはならない」
同氏はまた、病院やその他の医療関係機関に対するサイバー攻撃についても許されないインシデントだと述べ、そのような攻撃はどんなときにも行うべきではないが、特にパンデミックが起こっているような時期に行ってはならないと語った。
「もし私たちが世界中の政府にもっと高いスタンダードを維持するよう求める声を上げなければ、誰がやるのか」と同氏は述べた。
Smith氏のオンラインセッションは、映画「ウォー・ゲーム」がきっかけで、Ronald Reagan大統領がコンピューターのセキュリティについて考え始めた話から始まった。この映画には、北米航空宇宙防衛司令部のコンピューターに接続し、核戦争ゲームをプレイするハッカーが登場する。Matthew Broderick氏が演じる主人公、David Lightmanは最初、自分が誰と対戦しているのかを理解していなかった。またコンピューターも、Lightmanの攻撃が本物ではないことを理解していなかった。この1983年に公開された映画は、ハイテク産業や社会が現在抱えているいくつかの問題を正確に予想していた。1つ目は弱いパスワードのセキュリティリスクであり、もう1つは人間が人工知能(AI)アルゴリズムの制御を失うことで発生する脅威だ。
Smith氏によれば、Reagan大統領は、コンピューターが原因で米国が核戦争の瀬戸際に立たされる内容の映画を見て、顧問にこのような事態が本当に起こる可能性があるかを尋ねた。その会話が、コンピューターセキュリティに関する最初の国家安全保障決定令につながったという。