本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、日立製作所が開発した「再生可能エネルギーの使用状況を見える化するシステム」を取り上げる。
設備やサービスごとの再生可能エネルギーの使用状況を可視化
日立製作所は先頃、建物や設備、さらにはサービスごとに再生可能エネルギー由来の電力で稼働していることを、デジタル技術を用いて可視化するシステムを開発したと発表した。
また、2月1日から同社の中央研究所内において同システムを導入し、設備やサービス単位での使用電力が100%再生可能エネルギーであることを「Powered by Renewable Energy」として証明するシステムの運用を開始した。
今回、日立が開発したシステムは、スマートメーターとブロックチェーン技術を活用することで、個々の建物や設備ごとの単位で再生可能エネルギーがどの程度使用されているかを可視化する。
これにより、企業全体として再生可能エネルギーのみでの事業運営の早期実現が困難な場合でも、細かい建物や製造ライン単位での使用電力が100%再生可能エネルギーであることを可視化でき、企業の環境意識の向上や再生可能エネルギー利用の普及に貢献する。(図1)
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同社は中央研究所内に同システムを導入し、「協創棟」と呼ばれる特定の建物やエレベーターなどの特定の設備に対して、使用電力が100%再生可能エネルギーであることをPowered by Renewable Energyサービスとして証明するシステムの運用を開始する。(図2)
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将来的には、同システムを活用することにより、個々の製品やサービスに対して100%再生可能エネルギーで稼働していることを訴求した付加価値の高いサービスを提供することができる。
例えば、タクシー事業者が化石燃料由来の電力ではなく、再生可能エネルギーで100%充電された電気自動車のタクシー車両にPowered by Renewable Energyマークを表示させて乗車サービスを提供するなど、環境価値を訴求したサービスの提供が可能になる。これにより、事業者への再生可能エネルギーの導入を支援し、企業の脱炭素化を促進する。
日立製作所 未来投資本部デジタルグリッドプロジェクトリーダーの青木雅博氏
今回の発表におけるオンライン会見で説明に立った日立製作所 未来投資本部デジタルグリッドプロジェクトリーダーの青木雅博氏は今後の取り組みについて、「当社はさまざまな業界のパートナー企業と協力することで、このシステムおよび証明コンセプトを活用したサービスの提供に向けた検討を進め、脱炭素社会の実現への貢献を目指していきたい」と述べた。