決着したと思われていたSCO・Linux論争が再燃

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2021-04-05 12:45

 筆者には、SCO GroupがIBMに対して起こした、IBMがUNIXのソースコードを違法にコピーしてLinuxで使用したと主張する訴訟について17年以上に渡って取材を行ってきた。この訴訟やその関連訴訟については、これまでに500本以上の記事を書いてきた。筆者はこの問題は既に終わり、過去のものになったと思っていた。しかしその考えは間違っていた。2011年にSCOのUNIX製品と知的財産を買収したXinuosが、IBMとRed Hatを相手に「Xinuosのソフトウェアコードを違法にコピーして自社のサーバーOSに使用した」と主張して訴訟を起こしたのだ。

 この訴訟について知らない人のために、過去の経緯をごく簡単に振り返っておこう。Linux企業だったCalderaがUNIX企業だったSCOを2001年に買収して生まれたSCO Group(以下、SCO)は、当時Red Hatに対抗できる企業になるかと思われた。しかしそれはうまくいかず、SCOはその2年後にIBMを相手に訴訟を起こし、Linuxに対して法的な全面戦争を仕掛けた。

 読者の多くはこの2つの企業の名前を知らないだろうし、そのこと自体がこの訴訟の行方を物語っている。

 SCOのLinux訴訟は筋が通らないもので、当時から成功する見込みがあると考える人はいなかった。その後、MicrosoftがSCOに資金を提供していることが判明した。MicrosoftとSCOにとっては不幸なことに、Linux陣営の企業に対するSCOの訴訟には、まともな主張がないことがすぐに明らかになった

 SCOは次々に戦いに敗れた。致命的な打撃は、2007年に実際にはSCOがUNIXの著作権を保有していないことが立証されたことだった。

 2011年には、SCOに残された唯一の資産である同社のUNIX OSがUnXisに売却された。多くの人はこの買収に困惑したが、実際にはこれには多少の意味があった。SCOのUNIX製品である「OpenServer」と「Unixware」には、規模は小さいながらもそれなりにニーズがあったからだ。

 UnXis(現在は社名がXinuosに変更されている)は当時、SCOが行っていた無意味な訴訟には関心がないと明言していた。2016年には、同社の最高経営責任者(CEO)であるSean Snyder氏が「私たちはSCOではない。私たちは投資者として製品を買収しただけだ。IBMに対して訴訟を起こす権利を買収したわけではないし、それには全く関心がない」と述べている。

 しかし今や、同社は苦境に立たされているようだ。Snyder氏は「当社の『OpenServer 10』のようなFreeBSDベースのシステムは、市場から排除されてしまっている」と述べている。

 現在のSnyder氏は公式声明の中で、「本件はXinuosと当社の知的財産の盗難に関するものだが、消費者や競合他社、オープンソースコミュニティー、そしてイノベーションそのものに損害を与えた市場操作に関するものでもある」と主張している。

 SCOは、米領ヴァージン諸島地方裁判所に提出された訴状で次のように主張している。

 第1に、IBMはXinuosの知的財産を盗取し、盗取した財産を使用してXinuos自体と競合する製品を作り販売した。第2に、盗取した財産がIBMの手中にある中、IBMとRed Hatは関連市場を分割支配することに不法に合意し、拡大する市場支配力を用いて消費者、革新的な競合他社、そしてイノベーションそのものに不当に損害を与えた。第3に、IBMとRed Hatが共謀を始めた後、両社の計画を強固にし、永続化するために、IBMがRed Hatを買収した。

 IBMの広報担当者であるDoug Shelton氏は、これに対して「Xinuosの著作権に関する主張は、破産に至って同社に著作権を売却した先行者の陳腐な主張を焼き直したものであり、無価値な議論だ。IBMと世界最大のオープンソース企業であるRed Hatに対して提起されたXinuosの反トラスト法に関する申し立ても、同様に論理的ではない」と反論している。

 Xinuosは、IBMとRed HatがUNIX/Linux市場を二分して支配し、IBMがRed Hatを買収して市場シェアを統合したというもう1つの主張について、そもそもそれを裏付ける証拠を示していない。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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