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パナソニック、SCMソフト大手Blue Yonderの全株式を取得

大河原克行

2021-04-26 06:30

 パナソニックは4月23日、サプライチェーンソフトウェア大手のBlue Yonderの全株式を取得すると発表した。パナソニックはBlue Yonder株式20%を取得済みで、80%を追加取得する。買収金額は71億ドルで、内訳は株式追加取得分の56億ドル、Blue Yonderの有利子負債返済が15億ドル。企業価値を85億ドルと見込み、2021年度第3四半期までに買収を完了する予定だ。

パナソニックの楠見雄規CEO
パナソニックの楠見雄規CEO

 同日夜の記者会見で、パナソニックの楠見雄規CEO(最高経営責任者)は、「Blue Yonderを100%子会社する。コネクティッドソリューションズ社(CNS社)が攻めるべき領域の『現場プロセスイノベーション』を徹底的に強化するためで、Blue Yonderが将来も高成長を見込める。CNS社がソリューションプロバイダーとしてサプライチェーンに革命を起こし、リーディングカンパニーになるために不可欠な投資」と述べた。

 Blue Yonderは、1985年に設立され、2020年2月に「JDA Software」から社名を変更、35年にわたってサプライチェーンに特化してきた。その間に、買収や統合で小売向けのサプライチェーンソリューションを強化し、製造や物流向けにも事業を拡大、2018年に現社名のBlue Yonderを買収し、人工知能(AI)や機械学習(ML)を組み合わせたサプライチェーンソリューションを提供する。400件以上の特許を保有し、AI/MLのエンジニアは100人以上が在籍し、600人以上のマーケティング部門、1600人以上のパートナーエコシステムを持つ。2020年度の売上高は10億ドルで、76カ国・3000社の顧客を抱える。製造ではトップ100社中48社、物流では上位10社中9社、小売では100社中65社が導入しているという。

 CNS社の原田秀昭上席副社長は、「Blue Yonderは世界最大のサプライチェーンソフトウェアとして、3000社のうち約1000社がパッケージを活用する、他社への乗り換えは5%前後にとどまり、強固な安定性がある」とした。パナソニックとは2018年2月から協業し、2019年1月に正式に提携、同年11月には日本市場で提携を強化すべく49%を出資して、「Blue Yonder パナソニックビジネスソリューションズ」も設立した。2020年7月には、約8億ドルで株式の20%を取得し、協業関係を深めてきた。

 CNS社の樋口泰行社長は、「私もBlue Yonderの取締役として経営に参画して理解を深め、100%出資を決定した。Blue Yonderは、サプライチェーンの上流から下流までの全体をカバーするユニークな存在。さまざまな業務をカバーする豊富なソフトウェア群に加え、AIやMLといった機能を取り入れ、需要予測なども強化している」と述べた。

パナソニックによるBlue Yonderの100%株式取得の狙い
パナソニックによるBlue Yonderの100%株式取得の狙い

 樋口氏によれば、Blue Yonderは顧客基盤を強みに、ここ数年はSaaS事業も積極的に拡大しリカーリング比率が67%に達するという。「リカーリングにより、安定的で高収益を得るビジネスを展開できる。日本市場ではサプライチェーンパッケージソフトウェアの導入がこれから。パナソニックのフットプリントも生かせる」(樋口氏)などとした。また、「パナソニックの傘下になっても経営スピードが落ちてはいけない。自分の半分をBlue Yonder本社で過ごすくらいの気持ちで、CNS社の国際起点として事業展開したい」とした。

 今回の施策では、両社のソリューションの統合により「オートノマスサプライチェーン」の実現を目指すという。サプライチェーンの上流から下流までをカバーし、現場のエッジデバイスやセンサーがソフトウェアで結ばれ、自律的に連携することを意味する。車の自動運転のように、サプライチェーンが自律的に最適化され、オペレーションが自動化される状況を指すという。

「オートノマスサプライチェーン」の概念イメージ
「オートノマスサプライチェーン」の概念イメージ

 楠見CEOは、「あらゆるサプライチェーンの現場から自律的に無駄や滞留が省かれ、かつ継続的に改善のサイクルが回っていく世界を実現する。徹底的な削減で企業の経営改革に貢献し、地球環境にも貢献できる。現場で働く人たちにはゆとりある働き方を届けられる」とした。

 同氏は、レッツノート生産の神戸工場における先行導入の現場を見学し、高度なデータ分析によるサプライチェーン全体の可視化やAI活用のPSI(生産、販売計画、在庫)精度向上が可能なことを認識したという。「輸送の削減、過剰在庫や欠品の撲滅、納期順守率の向上などが可能になる。これを立証するためにも、パナソニックの多様な現場で先行活用し、ソリューションの力を磨き上げ、顧客に提供したい」と述べた。

 なお買収資金の71億ドルは、約35億ドルの手元現預金を活用し、残額をブリッジローンで調達。ブリッジローンは財務健全性維持のために格付上一定の資本性が認められるハイブリッドファイナンスで借り換える。

 パナソニック 取締役 専務執行役員の梅田博和CFO(最高財務責任者)は、「今回の買収は成長機会を捉えるための投資であり、キャピタルアロケーション方針に基づく。買収はキャピタルアロケーションの枠組み内で対応可能であり、ハイブリッドファイナンスを活用することで資本性を補完し、さらなるキャッシュフローの創出を推進する」と説明した。

 楠見CEOは4月1日付で就任し、6月には代表取締役社長に就任する。「100%子会社化したいという話はずっと聞いていたが、買収金額が巨額で判断が後手に回った点はあった」とし、オートモーティブ社担当時には巨額買収に疑問があったという。「Blue Yonderを買収してパナソニックが大きく変革するのか、CNSがどう変わるのかというイメージが持ち切れていなかったが、立場が変わりしっかりと中身を見て判断し、現場プロセスの現状を見てイメージが沸いた」とした。

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