Googleが新たに大規模な量子コンピューティング研究センターを開設したことを明らかにした。カリフォルニア州サンタバーバラにあり、数百人のスタッフを雇用する予定だ。このキャンパスには、Googleの最初の量子データセンター、量子ハードウェア研究ラボ、量子プロセッサーチップファブリケーション施設がある。すでに一部の研究者やエンジニアが働いているという。

提供:Stephen Shankland/CNET
同社は米国時間5月18日、毎年開催されている開発者向けカンファレンス「Google I/O」で、「Quantum AIキャンパス」の運用が始まっていることを明らかにした。この施設は、独自の量子コンピューターの製造に大きな役割を果たすことになると述べた。
Google ResearchおよびGoogle Health担当シニアバイスプレジデントJeffrey Dean氏は、同センターのもっとも重要な仕事は、量子コンピューティングの基礎的なデータ処理の要素である「量子ビット」の信頼性を高めることだと述べた。量子ビットは外部環境の影響を受けやすい性質を持っているが、Googleはエラー訂正技術によってその問題を解決しようとしている。
Dean氏は、カンファレンスの開始前に行われたブリーフィングで、米CNETの取材に対して、「私たちは1、2年のうちにエラー訂正が可能な量子ビットのデモを行えるようにすることを目指している」と述べている。
またGoogleの親会社であるAlphabetの最高経営責任者(CEO)Sundar Pichai氏は、Google I/Oの基調講演で、「私たちはいつの日か、エラー訂正が可能な量子コンピューターを作りたいと考えている」と語った。
量子ビットのエラー訂正は、多数の物理的な量子ビットを組み合わせて「論理量子ビット」と呼ばれる1つの仮想的な量子ビットを作ることで実現される。Googleのアプローチでは、1つの論理量子ビットを作るのに物理的な量子ビットが1000個必要になるという。さらに同社は、量子コンピューティングを現実的な仕事に利用するためには1000個の論理量子ビットが必要になると予想している。Googleの現在の量子コンピューターが数十個の物理量子ビットしか扱えていないことを考えれば、100万個の物理量子ビットを扱えるようになるまでの道のりはまだ長いといえそうだ。
またDean氏はI/Oで、Googleの新しい人工知能(AI)用カスタムプロセッサーである「TPU v4」の詳細についても明らかにした。同氏によれば、TPU v4を使用した新しいポッドには4096基のTPU v4プロセッサーが搭載されており、TPU v3のポッドの10倍の処理能力を持っているという。
現時点ではTPU v4のポッドはGoogleの社内でしか利用されており、2021年中に顧客への提供を開始するとPichai氏は述べている。

提供:Stephen Shankland/CNET
Googleはまた、MUM(Multitask Unified Model)と呼ばれる技術で同社のAIソフトウェアを改善しようとしていることを明らかにした。テキスト、音声、写真、動画などの形式を扱い、これらのすべての入力を処理できるものを作ろうとしているという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。