Googleの環境目標は極めて野心的だ。同社は、2030年までに全事業を24時間365日カーボンフリーなエネルギーで運営できるようにすることを目指している。2021年の「Google I/O」では、この野心的な目標の一環として、ネバダ州に設けたデータセンターやインフラの電力供給に「次世代」の地熱発電エネルギーを利用すると発表した。
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Googleのサステナビリティ責任者であるKate Brandt氏は、I/O開催前に米CNETが行った電話インタビューで、「私たちは、次世代地熱発電技術の開発に関する契約を結んだ最初の企業だ」と語った。
Googleは、地熱資源が持つ潜在的な可能性の活用を目指すクリーンエネルギー分野のスタートアップである、Fervo Energyとパートナーシップを組む。Fervoは2022年以降、Googleと協力して、ネバダ州の電力網に地熱発電で得られた電力の供給を開始する。これはこの地域の既存の再生可能エネルギーを補完するもので、それによってGoogleは目標に一歩近づくことになる。
地熱発電では、発電のエネルギー源に地熱を利用する。地表の下深くでは、放射性物質の崩壊によって発生した熱やマグマが地下にある水を加熱しており、その加熱された水さえ得られれば、ほぼ無限にエネルギーを供給することができる。
アデレード大学の地球物理学者Graham Heinson氏は、「これは驚異的に優れたエネルギー源だ」と述べている。「地球の内部には膨大な量の熱が閉じ込められており、そのエネルギーは、世界の極めて多くの地域をカバーする電力源となり得る」
現代の地熱発電では、地中に井戸を掘り、熱湯を取り出すことでその熱を利用している。この熱湯(および蒸気)は地表に汲み出され、タービンを回すのに使われてクリーンな電力が生み出される。例えばアイスランドでは、地熱資源で一次エネルギー消費量の約3分の2をまかなっている。
そして、地熱発電には、ほかの再生エネルギーよりも大きく優れている点が1つある。それは安定して発電できるということだ。
Brandt氏は、「これまでは風力発電や太陽光発電がGoogleの戦略の主力だったが、地熱エネルギーはいつでも必要な時に手に入るという点で優れたエネルギー源だ」と述べている。
風はいつでも吹いているわけではなく、太陽は常に照りつけているわけではない。このことは、特にGoogleのような1日中信頼できるエネルギー源でデータセンターを運用する必要がある企業にとっては問題になり得る。Brandt氏によれば、Googleは、これらのエネルギー源では電力が不足する場合でも、業務に電力を供給できる方法を見つける必要があるという。幸い、適切な地点に穴を掘ることさえできれば、地球の内部は常に暖かい。
しかし、地熱発電にも問題がないわけではない。地熱貯留層の探査は困難であり、一部の地域では経済的に非現実的でもあるため、初期コストと発電所の建設リスクが高くなってしまう場合がある。これらの問題が、地熱発電の発展の足かせになってきた。