Microsoftは米国時間6月3日、Hart InterCivicと提携し、初の大規模電子投票システムを実現すると発表した。このシステムでは、選挙における票の検証を可能にすることを目的としてMicrosoftが開発した、オープンソースの無償ソフトウェア「ElectionGuard」が活用される。
提供:Hart InterCivic
ElectionGuardは、Microsoftが2020年の米大統領選挙に向け、電子投票システムから投じられた投票の完全性を確保するための手段としてリリースしたソフトウェア開発キット(SDK)だ。
ElectionGuardを用いることで、投票者には追跡コードが発行される。このコードによって投票者は自らの投票が有効票となっており、改ざんされていないことを選挙ウェブサイト上で確認できる。またこの追跡コードからは、どの政党に投票したかを知ることができないようになっている。ElectionGuardは、票が暗号化されたままの状態での開票担当者による集計を可能にするために、準同型暗号を採用している。なお、ElectionGuardが装備された電子投票機では、投票用紙を印刷することもできる。
Hart InterCivicは同社の電子投票システム「Verity」にElectionGuardを搭載する。これにより同社はElectionGuardを搭載する米国初の大手電子投票システムメーカーとなる。ElectionGuardを搭載することで、このシステムはエンドツーエンドの検証可能性を実現できる。つまり投票者は自らの票が有効であり、改ざんされていないことを自らで確認できるようになる。
電子投票システムの信頼性は業界にとって重要な問題だ。フロリダ州に拠点を置く電子投票システムのベンダーSmartmaticの最高経営責任者(CEO)Antonio Mugica氏は2020年12月、Reutersに対して、Donald Trump氏がSmartmaticとその競合企業Dominion Systemsに矛先を向けた陰謀論を展開したことで、電子投票業界の将来が脅かされたと述べた。
Hart InterCivicのCEOであるJulie Mathis氏は、「私たちは、テクノロジーがいかに投票をよりセキュアに、そして透明性の高いものすることができるかを常に考え直さなければならないと考えている。このMicrosoftとのパートナーシップは、そのような方向への力強いステップだ」とコメントした。
Mathis氏は、「Hartの投票機と、エンドツーエンドの検証可能性を実現するElectionGuardテクノロジーを組み合わせることで、選挙管理人は、票の集計プロセスにおけるさらなる透明性の向上を実現できるようになる。ElectionGuardをVerityに統合するというHartの取り組みは、投票者の検証を可能にする紙ベースの証跡や、リスクを抑えるための監査に向けたサポート、読み込み不能なバーコード上で投票者の選択肢をコード化しないことといった、今までのわれわれのイニシアチブに基づくものとなっている。これらは、投票者が投票プロセスに厚い信頼を寄せられるようにするという、投票テクノロジーのイノベーションに向けたわれわれの継続的なコミットメントの一環となっている」と述べた。
Microsoftによると、Hart InterCivicはElectionGuardが統合されたVerityのパイロットテストを17州の500を超える管轄地域で実施する計画だという。
投票者は従来型の紙の投票用紙に記入するか、Hart InterCivicの「Verity Duo」マーキングマシンを使った後、自らの投票をVerityスキャナーで処理することになる。
スキャンが終了した時点で投票者は認証コードを受け取る。票の集計後、投票者はウェブサイトから認証コードを入力することで、自らの投票が最終的な集計結果に反映されているかどうかを確認できる。
Microsoftによると、関心を持っているサードパーティーも検証プログラムを用いることで、公式の選挙結果と内容を比較、確認できるという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。