Gartnerは8月24日、先進テクノロジーのハイプサイクルの2021年版を発表した。このハイプサイクルは、「信頼の構築」「成長の加速」「変化の形成」の3つの包括的なトレンドに集約されるという。その上で、企業は競争優位性を確保するために、非代替性トークン (NFT)、ソブリン (主権) クラウド、データファブリック、ジェネレーティブAI(人工知能)、コンポーザブルネットワークなどの先進テクノロジーを検討する必要に迫られるとした。
先進テクノロジーのハイプサイクル:2021年 出典:Gartner (2021年8月)
「信頼の構築」について、同社は信頼(トラスト)にはセキュリティと信頼性(リライアビリティー)が求められるとし、ITがビジネス価値を提供するための回復力のあるコア/基盤は、設計済みで再現性があり信頼できる、実証されたスケーラブルな作業プラクティスとイノベーションによって構成されなくてはならないとした。
現在、デジタルおよびクラウドテクノロジー/サービスの市場を支配しているのは、米国とアジアの事業者で、その結果、多くの欧州企業がこれらの地域にデータを保管しているため、政治的な不安に加え、データコントロールの維持と現地規制の順守に関する懸念が生じている。
Gartnerはこの状況について、各国がソブリンクラウドを用いてデジタル/データソブランティー (主権) を確保することにより、データ保護コントロール、データレジデンシー要件、保護主義、インテリジェンス収集を法的に適用できるようになるとしている。
「成長の加速」については、イノベーション主導のコアビジネスのスケーラビリティーが高まると成長が加速し、デリバリーと価値が拡大するとしている。
例えば、製薬業界で創薬のコストと時間を削減するために使用されている先進テクノロジーとしてジェネレーティブAIが挙げられるが、Gartnerは2025年までに新薬や新材料の30%以上がジェネレーティブAI手法を用いて体系的に発見されるという仮説を立てている。ジェネレーティブAIは、多くの分野で設計を拡張・加速するだけではなく、ジェネレーティブAIがなければ人間が見逃していたかもしれない新たな設計を「発明」する可能性も秘めているとしている。
「変化の形成」では、企業はイノベーションによって変化を形作り、カオスに秩序をもたらすことができるとし、そのために必要なのは変化のニーズを予測し、それに合わせて自動的に調整できる技量だとしている。
例えば、コンポーザブルビジネスアプリケーションは、変化し続けるオペレーションのビジネス環境により適したアプリケーションエクスペリエンスを実現するとしている。
コンポーザブルアプリケーションテクノロジーを基盤とし、コンポーザブルシンキングを用いて構築されるコンポーザブルビジネスによって、企業はビジネス機会を認識して活用し、予期せぬディスラプションに対応することが可能になるという。