契約ライフサイクルマネジメント(Contract Lifecycle Management:CLM)システムを提供するContractSが発表した調査結果から、導入したシステムや解決した課題、電子契約システム導入後に紙の契約書を締結した主な相手などが明らかになった。
今回公開された調査「契約業務のデジタル化に関する実態調査」は、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に高まった、企業の契約領域のDX(デジタル変革)推進ニーズの実態を把握することが目的と同社は説明する。
契約業務のデジタル化に当たり導入したシステムは、「承認フロー」(37.4%)、「電子契約」(30.2%)、「契約書の管理」(29.0%)がトップ3で、「契約の内容・データ管理」(27.9%)、「審査・相談フロー」(22.7%)がそれに続いている。契約書の管理システムは、同社が2020年4月に実施した調査と比べて6.8ポイント増加しており、導入が進んでいることが分かるという。
また、「契約書の管理」「契約の内容・データ管理」がデジタル化を実現できている一方で、「契約の期限管理」は17.9%とデジタル化が進んでいないことが明らかになっている。
導入したいシステムは、「契約書管理」(21.9%)、「電子契約」(21.6%)、「契約内容・データ管理」(17.3%)がトップ3。「契約書管理」「電子契約」については、デジタル化を実現できている企業もある中、まだデジタル化できていない企業の導入ニーズがあることが見てとれる。「契約の内容・データ管理」も、契約締結後の契約書面のデータ化とそれに伴う管理へのニーズが高いことが分かるという。
電子契約システム導入後に解決されたと感じる課題のトップ3は、「契約書の作成(印刷、製本、押印)、送付の手間」(65.6%)、「承認プロセスの煩雑さ」(56.9%)、「契約書の作成の効率化」(55.3%)。効率化が実感される一方で、「契約内容の交渉・確認・コミュニケーション」は28.3%にとどまり、電子契約システム導入で解決されづらい課題が浮き彫りになっていると同社は述べる。
解決されていないと感じる課題別に見た場合、「契約内容の交渉・確認・コミュニケーション」(30.5%)に続くのは「契約書の検索性・閲覧しやすさ」(19.3%)、「承認プロセスの煩雑さ(18.0%)、「契約書作成の効率化」(18.0%)など。「特になし」を除いた85.2%が電子契約システム導入後も契約業務に何らかの課題を感じていることになる。
電子契約システムを導入して「脱ハンコ」を実現しても、契約の交渉・確認などのコミュニケーションや契約書作成といったハンコ前業務、契約書の検索や閲覧といったハンコ後業務にまつわる課題は依然として解決されづらいと同社は見ている。
契約業務のデジタル化を推進する上での課題は、「過去の紙契約書の管理」(41.3%)、「社内稟議の取得」(32.4%)、「予算確保」(29.7%)の順になっており、過去に締結した紙の契約書の管理が契約業務デジタル化推進の高い障壁となっている。「契約フロー整備・教育コスト」(28.2%)、「セキュリティ面での対応」(28.1%)もデジタル化の障壁になっている。
電子契約システムを導入済の職場に勤務している92.0%が電子契約システム導入後も「紙の契約書締結を経験」と回答。その主な相手先は、「得意先」(75.5%)、「自治体」(47.2%)、「行政」(44.4%)、「金融機関」(32.9%)。契約業務のデジタル化推進には、自治体や行政の改革も不可欠なことが明らかになっていると同社は述べている。
今回の調査は、過去6カ月以内に契約関連業務を経験した企業に勤務する1030人を対象に、2021年8月3~5日に実施されている。
(出典:ContractS)