NTT東日本と日立製作所は、予測根拠を説明できるXAI(Explainable AI:説明可能な人工知能)とトレンドデータを活用したAI予測モデルにより、複雑化する市場動向や競争環境を踏まえた顧客の潜在ニーズを発掘し、営業活動における提案内容の最適化を図る仕組みの実証を開始した。
NTT東日本は実証実験の全体マネジメントとサンプルデータ(提案活動データ)などの提供を行う。
日立はサンプルデータとトレンドデータを掛け合わせた分析結果を分かりやすく説明する技術の開発や営業担当者とXAIが双方の仮説を意見交換しながら高度化していく協創型のプロセスの考案を担う。
XAIとトレンドデータを活用して提案活動を支援する仕組み(出典:日立製作所)
両社は今回、企業情報とトレンドデータを組み合わせ、XAIの分析モデルを構築したほか、業務での適用を想定した検証プロセスの開発を進めた。
実証では、NTT東日本の膨大かつ構造的に整備された提案活動データ(商材情報、顧客訪問や電話応対履歴、成約/失注の取引履歴など)をサンプルとして、これらのデータに新たに世の中の動向を示すトレンドデータ(新聞記事などのキーワード出現日、出現回数増減など)を組み合わせてXAIで分析し、顧客への課題解決提案の高度化に向けた効果検証を行う。
この仕組みでは、AIの予測や判断結果の根拠を定量的かつ分かりやすくタイムリーに提示できるため、課題やニーズが顕在化する前に先手の提案活動が期待できる。また直感や常識に裏打ちされた営業担当者のノウハウとXAI双方の仮説を比較検証しながら、継続的にモデルを改善していくプロセスに基づきAIモデルの高度化を進めることができる。
NTT東日本は今回の検証結果に基づき、顧客から預かったデータを活用するBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)などを強化する。これにより顧客のビジネス、ひいては社会全体のDX推進に寄与する活動につなげていく。
日立は、今回の実証で培ったノウハウを生かし、幅広い顧客の営業活動の高度化に向け取り組みを進めるほか、「Lumada」で展開するソリューション・技術を活用し、新たなサービスやビジネスの創出を支援していく。