「CentOS」を後援しているRed Hatが「『Red Hat Enterprise Linux』(RHEL)のリビルド版であるCentOS Linuxから、最新版RHELより少し先行する『CentOS Stream』に重心を移していく」と発表した際、多くのCentOSユーザーは憤慨した。こうした状況を受け、開発者らの手によってCentOSの2つのフォーク、すなわち「AlmaLinux」と「Rocky Linux」の開発が開始された。AlmaLinuxは後援企業であるCloudLinuxのサポートを既に取り付けているが今回、Rocky LinuxもCentOSの共同創設者であるGregory Kurtzer氏が立ち上げた新興企業Ctrl IQ(CIQ)による正式サポートが開始された。
これら2つのCentOSのフォークはいずれも、コミュニティーベースのディストリビューションであり、完全にフリーなかたちで使用できる。しかし、運用上の支援が必要であるという場合、いずれのディストリビューションも有償でのサービスが利用可能となっている。
CIQは、Rocky Linuxに対するサポートサービスを公式に開始したと発表した。Kurtzer氏によると、Rocky Linuxユーザーに向けたワンストップサービスを提供するという。CIQは極めて小規模な事業から、大企業に至るまでのさまざまな組織や企業に対してエンタープライズレベルのサポートとサービスを提供するとしている。
CIQの最高マーケティング責任者(CMO)Brim Leal氏は、「CIQの中核には、この業界での顧客サービスの在り方を再定義したいという考えがある」とし、「多くの企業もそう表明しているものの、われわれは2つの手段でそれを明確にする。1つ目は、Rocky Linuxのユーザーが求めるシンプルかつ、手に入れやすい価格でのサポートを提供することだ。われわれは大企業に対するサポートと同様に、小規模な独立系ユーザーを支援していく」と述べている。
そして同氏は、「われわれはオープンソースの、そして独立したOSとしてのRocky Linuxを生み出す上で支援してきており、その姿勢を堅持していく。2つ目として、われわれの技術者はRocky Linuxのプログラマーやエンジニアであり、日々その仕事にまい進している点を挙げたい。つまりRocky Linuxは彼らの情熱でもあるため、われわれの顧客が抱いているどのようなサポート要求も掘り下げ、熱意をもって対応できる」と続けている。
Rocky Enterprise Software Foundation(RESF)は6月に「Rocky Linux 8.4」をリリースした。これは、Red Hatがリリースした最新の「Red Hat Enterprise Linux 8.4」(RHEL 8.4)のクローンだ。Rocky Linux 8.4はx86_64アーキテクチャーとARM64(aarch64)アーキテクチャーに対応しており、同じ特長と機能を有している。
またCIQは、クラスター管理プラットフォームの「Warewulf」と、コミュニティー駆動型のコンテナープラットフォームである「Singularity」という、オープンソースプログラムのサポートも提供している。ちなみにSingularityは、高性能コンピューティング(HPC)や人工知能(AI)、機械学習(ML)、高いパフォーマンスが要求されるバッチ処理に向けて設計された製品だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。