Oracleは米国時間9月28日、「Oracle Database」を稼働させるためのプラットフォームである「Oracle Exadata」の最新バージョン「Oracle Exadata X9M」の一般提供開始を発表した。前世代より高速化し、よりコスト効率が高くなっている。
Exadataプラットフォームには、オンプレミス環境や、Oracleのパブリッククラウド環境、ハイブリッドクラウド環境である「Cloud@Customer」向けの各バージョンが用意されている。Oracleによると、高速なオンライントランザクション処理(OLTP)を実現しているとともに、クラウドやオンプレミス、ハイブリッドの各環境で同一のプラットフォームを稼働できる点が、競合他社との大きな違いを生み出しているという。
Oracleのミッションクリティカルデータベース技術担当エグゼクティブバイスプレジデントであるJuan Loaiza氏は、「われわれは自らが得意としていることを(X9Mでも)推進し続けている」と報道陣に語った。具体的には、同じコストを維持しながら「パフォーマンス、キャパシティ、スケーリングのメリットを向上させる」ということだ。
まず、X9Mプラットフォームは前世代の製品に比べるとOLTPのパフォーマンスが70%向上しており、最大2760万IOPS(1秒あたりに処理できる入出力数)を実現するとともに、IOレイテンシーを19マイクロ秒未満に抑えている。また、Intelの32コア「Intel Ice Lake」プロセッサーを搭載し、前世代の製品のプロセッサーコア数に比べると33%の強化を図っている。
アナリティクス時における走査のスループットを見た場合、X9Mでは前世代の製品よりも87%の高速化が図られている。また、アナリティクスアプリケーションを高速化するために、各ラックで1TB/秒を超えるアナリティクス時における走査のスループットを実現するとともに、低水準のSQLクエリーや、アナリティクス、機械学習(ML)アルゴリズムを処理するためのインテリジェントストレージサーバーに最大576基のCPUを搭載できるようになっている。
また、この新プラットフォームでは、コスト効率が大幅に向上している。Oracleは価格を据え置きながら、ストレージ容量を28%、コア数を33%、メモリー容量を33%強化している。
「Oracle Exadata Cloud@Customer X9M」もOLTPやアナリティクス、コスト効率で同様の強化を実現しており、走査レートを最大80%高速化し、IOPSを87%向上させ、SQLの読み取りレイテンシーを19マイクロ秒未満に抑えている。また、価格を据え置いたままで性能を向上させているため、前世代の製品に比べるとコストが最大47%削減されている。
OracleはExadata Cloud@Customerについて、競合他社の製品よりも大幅に高速だとし、X9MのOLTPレイテンシーについて、オールフラッシュストレージを用いている「Amazon RDS」の50倍、「Microsoft Azure SQL」の100倍優れていると主張している。またアナリティクスのスループットに関しては、Microsoft Azure SQLの最大25倍、Amazon RDSの最大72倍、高いとしている。
「Oracle Autonomous Database」はExadata Cloud@Customer経由で利用でき、少数のCPUで稼働する小規模データベースに対するサポートも提供するようになった。
また、こういったコスト効率の向上は、ソフトウェアの強化によっても実現されている。例を挙げると、同社はコンソリデーション能力を強化するために、複数の仮想マシン(VM)に対するサポートを自動化するとともに、新たなメンテナンススケジューリングを提供している。
さらに同社は、「Zero Data Loss Recovery Appliance X9M」の一般提供開始を発表した。この製品には、複数の「Recovery Appliance」間での同期機能が含まれており、これによって計画の有無にかかわらず、システム停止時にもバックアップや復旧処理の継続が可能になる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。