企業からは、人を雇おうとしても適切な開発者や技術者が不足しているという不満の声が絶えない。
そんな企業が責めるのは、必要とされているスキルを教えていない大学や、非現実的な給与を要求する求人応募者だ。しかし、こうした人材の需給不一致が起きる原因の多くは(実際には「ほとんど」と言うべきだろう)、最終的には雇用側の時代遅れで非現実的な要求にある。
今でも、格下の仕事に10年の経験を求める企業は多い。そして、応募者がこの不合理なハードルを越えたとしても、面接は非常に長く、あいまいで、応募者が実際に応募した仕事に焦点が当たることは少ない。
あまりにも多くの企業が、特定の時点で必要としている特定のスキルを持った人材を求めるだけで、新しい仕事ができるようにスタッフを育てることについては、意欲も関心も示さない。特定の技術を持っていることだけにこだわるのは、その企業の特定の問題を解決するためには有効だろうが、候補者はごく少数に絞られてしまう。
また、技術的なスキルだけを求めて人を雇うのは的外れであることを示すデータも多い。コーディングは開発者の仕事のほんの一部でしかないし、一番難しい仕事だというわけでもない。ほとんどのプロフェッショナルの仕事では、リーダーシップや、創造的な問題解決や、何よりコミュニケーションスキルが成功の鍵になる。これはほかの分野と同じように技術の分野にもいえることで、日々の仕事では特定の言語でコーディングする能力よりも重要な場合もある。
企業は、人材を雇用する際に、Javaや、Cや、Pythonに関する専門知識と同じくらいこうした能力についても考慮すべきであり、さもなければ自分たちに対しても、雇われた開発者に対してもマイナスになる。
こうしたスキルに注目して人材を雇用すれば、より幅広く多様な候補者から人材を選べるだけでなく、これまで見過ごしてきたスキルを技術部門に取り入れることができる。これらのスキル(特にコミュニケーション能力)の欠如は、IT部門をほかの部門から切り離された孤立した部門にしてしまっている。本来なら、IT部門は業績に極めて大きな影響を及ぼすことが可能な、ビジネスの中心を担う活動的なチームであるべきなのにも関わらずだ。
これは、技術的なスキルに関して企業が自ら作り出している問題のほんの一部にすぎない。
誰をどんな理由で雇用するかについて熟考すること以外に、今いる人材を育てたり、技術スタッフをリモートワークに関するポリシーの策定のような仕事に関与させたりすることも検討すべきだ。そうした取り組みはすべて、今いるスタッフを維持することに役立つだろう。
企業は人材不足についてずっと不満を訴えてきたが、その危機の責任が自分たちにあることを自覚する必要がある。それを認めることができれば、問題を解決することもできるかもしれない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。