前回までデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の大きな枠組みに資する事項を紹介し、Digital Transformation Management Office(以下、DXMO)の標準化モデル(図1参照)の1つ目となる「DX戦略モデル」について解説しました。
今回は、DXMOの推進母体であるDX専門組織に求められる組織構造と企業内での立ち位置にさらに踏み込んだ、「DX組織モデル」について紹介していきます。
図1.DXMO標準化モデル
DXMOミッション(役割)定義:DXMOは何者か
本連載の第1回記事でも触れましたが、DXMOを社内に組閣する際に、まず重要なことが、「DXMOのミッション」を定義することです。基幹システムや社内サーバー、端末のOS、ネットワーク、社内共通利用のウェブブラウザー、メールなどの業務ソフトの保守、メンテナンス、問い合せサポートなど、つまりは「守りのIT」を担当範囲とする既存のIT部門と異なり、DXMOは、AI/Cognitive(人工知能/認識技術)、AI-OCR(AIを用いた光学文字認識)、IoT、AR/MR(拡張現実/混合現実)、ブロックチェーンなど、現在あらゆる企業で新たにチャレンジされている先端技術領域、また、数年~十数年前に生まれ、多くの企業で既に適用済みであるが、既存のIT部門にとってはハードルが高く、自社として未着手であった技術領域を用いたデジタル施策、つまりは「攻めのデジタル領域」の推進を担う組織体です。
このように、社内の他部門や社外のステークホルダー(取引先や株主、顧客など)へDXMOの存在意義と使命を明確に示すためにも、ミッション(図2参照)を明文化することがスタートとなります。また、DXMOに所属するメンバー自身が、「自分たちは何者で、どんな役割を背負っているか」を認識し、同一の価値観・ベクトルを相互理解した上で活動推進していくことこそが、DXMOミッション定義の最も重要なファクターであると筆者は考えます。
図2.DXMOミッション(サンプル)