ピュア・ストレージ・ジャパンは12月16日、FlashArrayファミリーの最上位機種となる「FlashArray//XL」を発表した。SAP HANAなどのミッションクリティカルなデータベース向けのオールフラッシュストレージと位置付ける。
同社は、FlashArray製品として「//C」「//X」を持つが、//XLはミッションクリティカルなアプリケーション向けに加えた新しいNVMeストレージ製品ラインになる。まずは最大実効容量3.53ペタバイト(PB)の「FlashArray//XL 130」、同5.5PBの「FlashArray//XL 170」の2機種をラインアップする。
FlashArrayの製品ポートフォリオに「FlashArray //XL」が加わる
この日開催された発表会で同社プリンシパル・テクニカル・ストラテジストの岩本知博氏は、XLについて「超ハイエンド」と位置付けた。Xシリーズが3Uサイズなのに対し、XLシリーズは5Uサイズとなる。論理的に接続できるサーバーの台数は、Xシリーズの1000台の2倍となる2000台という。
ピュア・ストレージ・ジャパン プリンシパル・テクニカル・ストラテジストの岩本知博氏
「Xシリーズでも他社に比べ十分にハードウェアとしてコンパクトかつ高性能だった。しかし、何台も並べるより1台に集約した方がメンテナンスをしやすい。ボリュームを複数並べるよりも1つの高性能なデータストアを構築した方がいいという考え方に基づいて用意した」(岩本氏)
新製品は、ミッションクリティカル向けとうたうだけあり、性能、スケール、セキュリティを大きな特徴とする。例えば性能では、レイテンシーが150マイクロ秒で同じだが、スループットは、Xシリーズの最大20GB/秒に対し、XLでは36GB/秒と約1.8倍になるという。XL170では、アクティブクラスター機能を使って完全同期をすれば、そこに対するバッチ処理が72GB/秒になり、可用性は99.9999以上という。
ストレージの密度については、DirectFlashドライブにNVRAMを搭載するという新しいアーキテクチャー「DFMD」を採用した。専用のNVRAMスロットをメインのアレイシャーシに用意しなくて済むことから省スペースを実現し、ストレージの高密度化を進めた。
セキュリティ面では、同社のストレージOSの最新版「Purity 6,2」を搭載する予定だ。ランサムウェア対策として、万一管理者権限が乗っ取られても誰にも消せないスナップショットを保持するような機能を実装しているほか、サポートツール「Pure1」では人工知能(AI)を使って、各アレイのアセスメントを行う機能も実装しているという。
XLの用途は、「性能を追求するバッチ系のワークロード」になる。グローバルでは、既にデータベースとSAPシステムの組み合わせによる導入が決まったケースがあるとしている。性能を求めて複数のアレイ構成にすると、ボリュームが複数に分配されるため、スナップショットなどのストレージの機能が使いにくくなる。「1つのアレイの1つのボリュームがどれだけ性能を出すのかが重要なユースケースが向いている」と岩本氏は述べた。
同社が強調するのは、先に発表した“コードとしてのストレージ”の「Pure Fusion」との組み合わせだ。Pure Fusionは、同社のサポート基盤「Pure 1」をベースに、AIでアレイをクラウドのように管理できるというSaaSになる。容量や性能などに応じてストレージをメニュー化することで、ストレージ担当者とビジネスユーザーの間の技術知識のギャップを埋めることができると、岩本氏は述べる。
Pure Fusionは2022年前半にリリース予定だが、XLでは初期リリースから、Pure Fusionのインターフェースを用意する予定という
岩本氏は、2022年の注力分野にも触れた。コロナ禍から回復が進み、リモートとオフィスのハイブリッドな働き方が進むと見ており、そこで同社としては、デジタルトランスフォーメーション(DX)とコンテナー技術、新しいデータ保護、「Cloud FirstからCloud Everywhereへ」、サステナビリティー、AI、第5世代移動体通信(5G)、IoTなどの隣接テクノロジーに注力していくという。
例えば、DXとコンテナーでは、2020年に買収したPortworxを推進する。Portworxは、Kubernetesのデータサービスプラットフォームで、まだクラウドネイティブになっていないウェブサーバーのデータベース用途などを狙い、「コンテナーストレージと言えばPure StorageのPortworx」といったマーケティングメッセージを通じて、事例も増やしていきたいという。
「Cloud Everywhereでは、今回のXLとFusionの組み合わせのようにストレージの運用をクラウドのようにしていく。「Evergreenの考え方、Pure as a Serviceなどを展開してきたが、その先に進める」と岩本氏は述べた。