競合は作り込まれた「Excel」ファイル--決算プラットフォームBlackLineが目指す今後の経理

河部恭紀 (編集部)

2021-12-27 07:30

 クラウド型決算プラットフォームを提供するBlackLineの日本法人ブラックラインは、同社が提供するソリューションにより、これからの経理の姿として「モダンアカウンティング」を目指しているという。

 BlackLineは、Therese Tucker氏が2001年に米国で創設。2016年10月にNasdaq上場し、現在の従業員はグルーバルで1400人。同社のソリューションは、Fortune 500企業の50%をはじめ130カ国以上の3700社以上で利用され、「決算プラットフォームとしてはデファクトスタンダード化している」と代表取締役社長を務める宮﨑盛光氏は述べる。

 決算業務はどの企業にもあることから、ユーザー企業は業種、業態、規模を問わないという特徴があるという。

 日本への進出は2018年8月。国内においてもユーザー企業数は拡大しており、花王をはじめとする数十を超える企業に製品が採用されていると宮﨑氏。経理業務における生産性向上の優先度は高いと考えられており、中でも必要性の高いものとして決算業務が挙げられているという調査結果を引用し、「この辺りが改革できるなら、生産性がだいぶ向上する」という印象を顧客が持ちはじめていると説明する。

 経理、決算担当者が決算領域で抱えている課題としては、グループ会社含む決算業務の実施状況が不明といった不明瞭/不透明な状況、低い生産性/属人的業務、ガバナンス/監査対応の強化、コミュニケーションコスト、人材育成/人材確保があるという。

 このような課題に対して、Software as a Service(SaaS)型決算プラットフォーム「BlackLine」は、統合基幹業務システム(ERP)を使った日々の数字の管理(レコード)と投資家などへの数字の開示(レポート)の間に位置してソリューションを提供する。

図1

 レコードをレポートまでに持っていく決算業務は、特に日本企業の場合、人海戦術での対応が主で基本的に手作業だという。システムを使っていたとしても、マクロが多数組まれている「Excel」がせいぜいと宮﨑氏は指摘。

 この部分にBlackLineを使うことで、決算に関わる情報を一元管理し、決算業務の可視化から標準化、自動化、統制強化へという流れを作ることができる。さらに、経理担当者間のコミュニティー形成が可能となるという。これにより、経理業務の生産性を向上し、ガバナンスの強化、持続可能性の高い働き方や組織づくりを実現できると同社でカスタマーチーム 部長を務める石川康男氏は説明する。

 BlackLineは、タスク管理、勘定照合、仕訳入力、マッチング、インターカンパニーハブ、差異分析というモジュールで構成されている(下図参照)。

図2

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