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企業のサステナビリティー戦略を支えるデータ活用

気候変動対策のためのダッシュボード活用法

今井浩 (クリックテック・ジャパン)

2022-06-08 07:00

 国際連合(国連)の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による報告書は、深刻な事態に言及しています。気候変動が全ての地域で加速し、地球温暖化のしきい値とされる1.5度(産業革命以前の世界の平均気温から1.5度上昇した場合に深刻な被害が想定されている)に近づく可能性が高まっています。気温の上昇は海面上昇を増幅させ、異常気象の頻度と規模を拡大させています。このような変化により、都市のガバナンスはあらゆる面においてますます困難になっています。

 世界都市気候先導グループ(C40)は、7億人以上の市民と世界経済の4分の1を代表する、世界最大かつ最も影響力のある97都市を結ぶ世界規模の非営利団体です。C40は、これらの都市がしきい値の1.5度に達することを防ぐためにデータ活用に取り組んでいます。

 ここでは、C40がデータ主導型のダッシュボードを利用して、どのように加盟都市が最大限の効果を発揮できるよう支援しているかについて紹介します。

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ハイインパクトアセスメント(HIA)ダッシュボード

 C40は、クラウドアナリティクスソリューションを利用して、加盟都市が気候変動対策の目標達成を支援するダッシュボードを立ち上げました。このダッシュボードは「ハイインパクトアセスメント(HIA)ダッシュボード」と呼ばれ、C40と加盟都市は、これを利用して、地域やセクター(交通、インフラ、商業建築、廃棄物管理など)ごとに都市の気候変動対策の傾向を評価し、2030年の目標値と比較できます。また、他の加盟都市の模範として共有できるような高い成果を挙げている都市や、さらなる支援が必要な都市を特定できます。

 C40は、このダッシュボードから得られた情報やインサイトを利用して、関連するネットワークや技術支援プログラムを加盟都市に提供しています。また、HIAダッシュボードにより、C40の資金提供者は、気候変動に取り組む都市を奨励および支援するというC40独自の目標がどの程度達成されているかを検証することもできます。

エンゲージメントダッシュボードとリーダーシップダッシュボード

 C40の大きな強みは、そのネットワークがピアツーピアで知識を移転できる十分に整備されたグループで構成されていることです。これにより、加盟都市は互いに学び合い、成功した戦略を迅速に採用し、希少な資源が誤った技術や政策に使われるのを避けることができます。しかしこのようなネットワークは、加盟都市の積極的な協力が必須となるため、C40は都市の適切な組み合わせの確保に努めています。

 そのために、C40は、高度な分析の統合を可能にするプラットフォームを使ったエンゲージメントダッシュボードを開発しました。これにより、特定のテーマでリードしている都市は、ベストプラクティスの文書化、ウェビナーでの発表、または他の加盟都市への直接指導などにより、積極的に成功事例を共有し、他の加盟都市から学ぶことができます。

 このダッシュボードは、スタッフが積極的に専門家を採用し、デューデリジェンス(適正評価の手続き)を行っている都市からの質問に対応することや、C40が特定の都市に過度な情報提供を求め負担をかけることを避け、より公平に支援を配分することにも役立っています。

 都市は今、特に新型コロナウイルス感染症の影響と、環境に対して公平な回復を促進する機会について、多くの問題を管理しなければなりません。資源を効率化し、都市の時間的制約を考慮したシンプルなツールを構築できれば、全ての加盟都市が気候に関する優先事項で成功できるように支援できます。

 エンゲージメントダッシュボードの他に、C40は、リーダーシップダッシュボードも開発しました。これは、C40の公的会員資格に基づき、地域的および経済的に同等な他の都市がどのように成果を挙げているかを可視化できるツールです。

 これにより、各都市はさまざまな方法で成果を挙げることができます。リーダーシップダッシュボードを使うことで、C40と各都市は、他のどの都市で成功していて、C40からの支援を最大限に活用するために、どこでさらに改善すべきかをすぐに確認できます。

 例として、米国マサチューセッツ州のボストン市はC40ネットワークと共同して、同市全域の建築物におけるエネルギー利用データへのアクセスをツールの開発者コミュニティーに提供し、建築物のエネルギー性能を扱うアプリケーションを作ることで、ボストンの物件オーナー・企業・住民が、エネルギーの消費や費用、温室効果ガス排出量を低減させる可能性を探りました。

 建築物から発生する温室効果ガスは、ボストン市の温室効果ガス排出量の約4分の3を占めるため、家庭やオフィスで省エネを進めることは、住民、経済、市に大きな恩恵をもたらします。市の持つ建築物のデータを戦略的に活用することは、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという同市の目標実現にもつながります。

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