NTTコミュニケーションズ(NTT Com)とオムロンは9月28日、製造に関する技術とデータの高度利用に向けて連携すると発表した。二酸化炭素(CO2)排出量データの共有化など、「地球環境と共存したモノづくりの実現を加速させるソリューションの開発および提供を目指す」(両社)としている。
この連携では、(1)欧州の各種データ連携基盤との相互接続を可能とするデータ連携プラットフォームの実用化、(2)IT領域とOT領域を安全につなぐ相互接続検証、(3)高い生産性とエネルギー効率を両立した製造実現――に取り組む。
両社は、2021年度から国内外の組織間で安全なデータ共有を実現する「日欧連携共同トライアル」に取り組んでおり、欧州のデータインフラプロジェクト「GAIA-X」で使われる「IDSコネクター」を用いた相互接続検証を実施してきた。
今回の連携は、こうした取り組みを拡大するものといい、オムロンの製造現場における自動化技術や経験、制御機器とNTT Comの情報通信インフラを組み合わせた実験環境を10月から構築していく。製造技術(OT)領域におけるデータを保護しつつ、サプライチェーン(供給・調達網)全体で共有できるソリューションの開発と提供を目指す。
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具体的には、(1)ではNTT Comのデータ活用プラットフォーム「Smart Data Platform」や同社NTTデータが開発するデータ連携プラットフォームを用いて欧州の各種データ連携基盤との相互接続を実現させるほか、CO2排出量などの国際的なデータ連携が可能なプラットフォームの実用化およびこのプラットフォームを活用したソリューションをIT領域で提供する。
(2)では、OT領域のデータを企業間で共有するため上述のプラットフォームと、産業制御システムにおけるコントローラーとの安全な相互接続を図る。さらにはモバイルネットワークやグローバルネットワーク、エッジコンピューティングサービスなどとも接続し、原材料の種類やエネルギー消費量、品質などの製造にまつわる広範なデータを収集、分析、活用できる仕組みを共同検証する。
(3)では、オムロンのものづくり現場革新コンセプト「i-Automation!」を具現化した自動化ソリューションをOT領域で提供し、生産現場の設備稼働率や制御方法の最適化による温室効果ガス排出の抑制に関するデータの可視化などを図る。また、資源の使用状況や廃棄状況の可視化と再利用促進の実現に向けた共同技術検証にも着手する。