OpenAIに対してMicrosoftが2019年に出資した10億ドル(当時のレートで約1080億円)は、「ChatGPT」の開発に役立てられた。その投資は、Microsoftの検索エンジン「Bing」の強化というかたちでまもなく実を結ぶ可能性があるという。The Informationが報じた。
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ChatGPTを活用したBingの検索機能は早ければ3月末までに搭載されるという。OpenAIに対するMicrosoftの10億ドルの投資には、「Azure AI」における新たなスーパーコンピューティングテクノロジーの開発を目的とした、複数年にわたるクラウドコンピューティング関連の独占的提携関係も含まれている。
Microsoftの計画に詳しい2人の情報筋がThe Informationに語ったところによるとMicrosoftは、ChatGPTの人工知能(AI)を用いて検索クエリーに回答するバージョンのBingを立ち上げ、「Google検索」や現行のBingが提示するようなリンクの一覧とは違ったかたちで検索結果を提供しようとしているという。これは、検索市場で圧倒的な地位に君臨しているGoogleの牙城を崩すための武器となる可能性がある。
MicrosoftのOpenAIに対する投資の目的は、汎用人工知能(AGI)を生み出そうとするOpenAIの取り組みをサポートすることだ。AGIとは「ある分野において世界的な専門家レベルの知識をマスターできるとともに、1人の人間では獲得し得ない広範な分野の知識をもマスターできるシステム」のことだ。
ChatGPTは現時点において、自然言語での入力に応答できる最も優秀なチャットボットだという点に間違いはないだろう。そして、Google独自の「Language Model for Dialogue Applications(LaMDA)」というベータ版の会話型AIモデルや、Metaの「BlenderBot」よりも一般大衆の興味を引いている。ただしこれら3社はすべて、自社のチャットボットによる回答を信頼してはいけないと警告している。また、Microsoftが2016年に公開したチャットボットの「Tay.ai」は大失敗に終わった。
Stack Overflowは2022年12月、ChatGPTによって生成された回答の投稿を一時的に禁止した。この動きは、コーディングの質問に対する回答として、複数のユーザーがChatGPTを用いて生成、投稿した内容が、一見もっともらしいものの実際には的はずれだと判明したことを受けたものだ。
Statcounterによると世界の検索市場のシェアは、Googleが92.58%であり、Microsoft(Bing)は3.03%、Yahooは1.24%だという。
The New York Timesは、ChatGPTのリリースによって、Googleが数十年にわたって築き上げてきた、広告主からの対価によって成り立つ検索ビジネスモデルに激震が走るとして、同社のマネジメント層は「警戒警報」を発令したと報じている。
Microsoftは、OpenAIのテクノロジーを活用した、Bingの機能強化を既に開始している。Microsoftは2022年12月に、OpenAIの画像生成ツール「DALL・E 2」を用いることで、ユーザーがキーワードに基づいて画像を生成できるようにした。ただし、同ツールは現時点ではプレビュー段階となっている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。