プリントシール機で国内大手のフリューは、同社のプリントシール機画像取得・閲覧サービス「ピクトリンク」のデータベース基盤を「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)上で刷新した。日本オラクルが発表した。
フリューは、OCI上の「Oracle Autonomous Database」を活用し、以前の環境より最大で約3倍のSQL処理性能を実現した。また、これらの性能は従来の約60%のコストで実現されているという。自社の運用ポリシーを適用可能な専有環境を採用し、プリントシール機の利用が少ない時間帯にパッチの適用やメンテナンスが行え、これにより常に安全かつ安定したサービス環境を整備できたとする。
「ピクトリンク」の利用画面
フリューは、1998年からプリントシール事業を展開し、現在国内市場シェアの94%(フリュー調べ)を持つ。ピクトリンクは、全国のアミューズメント施設などに設置されたプリントシール機と携帯端末やスマートフォンを連動するプリントシールの画像取得・閲覧サービスで、149万人(2023年3月末時点)の会員を持つ。
同社は、2022年1月から「Oracle Autonomous Database Dedicated」でのインフラおよびデータベースの構築を進め、「OCI Golden Gate」を活用したデータ移行を経て、2023年6月に新しいデータベース基盤でのサービス提供を開始した。
移行後は、データベースの性能向上とCPUリソースの柔軟な増減により、課題となっていたピーク時のサービス品質の劣化を解消した。保存してから一定期間以上経過した画像をまとめて消去するクリーンナップ作業など高負荷の月次処理も、従前の環境と比較して高速化している。
また、パッチ適用なども自動化され、運用管理の負荷を軽減した。同社は今後3年間で、同等のオンプレミス環境と比較して1億3000万円以上、ほかのクラウドと比較して4億4000万円以上の全体コストの抑制を見込んでいる。
ピクトリンクのサービス提供基盤は、画像データを含む全会員のデータを管理するデータベース基盤と80以上のアプリケーションを実行する200以上のウェブサーバーで構成されている。これまでは、データセンター内のオンプレミス環境で運用し、データベース基盤は「Oracle Database」上で稼働していた。しかし、ハロウィンやクリスマス時期など平常時の約1.5~2倍の利用が集中する時期では、ウェブサーバーの増強などの対策を講じても、画像アップロードの遅延によるサービス品質の劣化が生じ、運用管理の負荷も課題となっていた。
さらにデータセンターの老朽化に伴い、サービスを中断することなく、期日までにサービス基盤を他の環境に移行することが求められていたという。