日本の要件に対応した機能を強化--「Oracle NetSuite」事業戦略を発表

阿久津良和

2023-11-14 07:00

 日本オラクルは11月13日、クラウド型ERP「Oracle NetSuite」の事業戦略説明会を開催した。

 同社 取締役 執行役 社長の三澤智光氏は本サービスについて、「3万7000の企業が単一のクラウド、アーキテクチャー、データモデルで稼働するOracle NetSuiteを利用中。半期に1回のアップグレードでセキュリティリスクやパフォーマンスの問題も解消する。今後、業務アプリケーションはAIで進化していくが、適時取り入れていくには、(Oracle NetSuiteのような)単一環境が必要になる」と紹介した。

日本オラクル 取締役 執行役 社長 三澤智光氏
日本オラクル 取締役 執行役 社長 三澤智光氏

 2016年11月にNetSuiteをOracleが買収する形で自社サービスに加えたOracle NetSuiteは、219カ国で3万7000社の顧客を持つにまで成長した。

 クラウド財務会計やERP、Eコマースなど多数の機能を備え、日本オラクル バイスプレジデント NetSuite事業統括 カントリーマネージャーの渋谷由貴氏は「経済状況の目まぐるしい変化に対応して生き残り、勝ち残るために戦う中小企業こそ必要なソリューションである」と説明した。

 国内は2005年に市場参入し、日本独自の法令や消費税などに対応させてきた。また、小売業や製造業、卸売業など多数の業種に提供しており、さらなる市場獲得を目指す日本オラクルは、「大企業に対しては2Tier ERP(2層ERP)のアプローチを用意している。財務会計、在庫管理、注文処理調達など主要な業務機能を一元的に管理し、販売サービスやマーケティングの自動化機能、顧客業績管理、プロジェクト計画とオンラインおよび実店舗の販売など、包括的な商取引オプションも用意した。スタートアップ企業から中小・中堅・大企業、業種やビジネス形態を問わず、あらゆる顧客がわれわれのサービスで恩恵を受けられる」(渋谷氏)とOracle NetSuiteの長所を強調した。

日本オラクル バイスプレジデント NetSuite事業統括 カントリーマネージャー 渋谷由貴氏
日本オラクル バイスプレジデント NetSuite事業統括 カントリーマネージャー 渋谷由貴氏

 2024年会計年度以降の機能強化も予定しており、北米などで提供済みの銀行口座明細連携機能「Bank Feeds」の日本金融機関向けモジュールや、日本版デジタルインボイス用テンプレートの「e-Invoicing SuiteApp」、日本でNetSuite導入開始当初から既存の手形管理機能をSuiteApp化し、他国の要件も取り入れた「Enhancing Tegata」を提供する。

 AI機能もCohereと提携して、「Oracle Cloud Infrastructure」上に構築した生成AIサービスを多方面に提供する予定だが、当然ながらOracle NetSuiteも対象に含まれる。現時点では文書の自動分類や帳票からのデータ抽出、 サプライチェーンの予測リスク、 テキスト分析など多くの機能を盛り込む予定だ。

 国内のOracle NetSuite利用企業であるタナベコンサルティンググループ 専務取締役の藁田勝氏は、導入効果を次のように語る。「導入は4年前ほど。それまでのシステムは後継者の問題や維持コストが発生していた。Oracle NetSuite導入後は維持コストも30%以上削減。ERP導入で組織が変わり、会社まで変わっていく」

 SkyDrive 管理部ITグループ マネージャーの佐野琢也氏は、「スモールスタートかつカスタマイズも担保していることから、2020年にOracle NetSuiteを導入。カスタマイズは基本的にコーディング不要のノーコードだが、JavaScriptも使用できる」とコメントした。

 日本オラクルの製品を幅広く取り扱うSB C&SのICT事業本部 クラウド・ソフトウェア推進本部 本部長の菅野信義氏によると、「2023年8月に『Oracle NetSuiteアフィリエイトプログラム』を開始した。端的に述べれば販売パートナーやエンドユーザーからの案件を日本オラクルに紹介する」プログラムを展開中だという。

左からタナベコンサルティンググループ 専務取締役 藁田勝氏、SkyDrive 管理部ITグループ マネージャー 佐野琢也氏、SB C&S ICT事業本部 クラウド・ソフトウェア推進本部 本部長 菅野信義氏
左からタナベコンサルティンググループ 専務取締役 藁田勝氏、SkyDrive 管理部ITグループ マネージャー 佐野琢也氏、SB C&S ICT事業本部 クラウド・ソフトウェア推進本部 本部長 菅野信義氏

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  3. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

  4. セキュリティ

    最も警戒すべきセキュリティ脅威「ランサムウェア」対策として知っておくべきこと

  5. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]