Pure Storageは1月10日、アジア太平洋・日本地域における2024年の展望を発表した。「AI」と「サステナビリティー」が今後も同地域の技術導入と人材育成の変化を促進させるものになると見込んでいる。また、政治・社会・経済の不透明な情勢が続くと予想される中、企業はテクノロジー投資に関して現実的な姿勢を維持し、AIの活用による業務改善と、企業のサステナビリティー目標の達成を目指していくことになると予測する。
AIがクラウドコンピューティングに変革をもたらす
GPUクラウドなど、AIに特化したサービスを専門とする新世代のクラウド事業者の登場によってクラウドコンピューティングの分野に変革が起こり、IaaSを提供するハイパースケーラーの現状も大きく変化することが予測される。
- 新種のIaaSハイパースケーラーは、GPUチップメーカーがクラウド事業者からの需要拡大に対応するようになることで急成長する
- 従来のIaaSハイパースケーラーがAIクラウド機能の獲得に動くため、M&A(合併と買収)も活発化する
ソブリンクラウドが台頭する
データの使用や保存場所に関する規制が強化され、ソブリンクラウドへのニーズが高まっている。この傾向は、セキュリティ要件の厳しい金融サービスなどの業界で顕著に見られる。さらに、生成AIをはじめとするAIシステムのトレーニングにおいては、データ主権の課題を解決しなければならない。
- 2024年には、データを自国の管轄内に保管して管理を強化することを求める行政規制が浸透し、ソブリンクラウドが台頭する
- オーストラリア、ニュージーランド、日本、インドネシアなどの国において、この傾向が高まっている
全社的なサステナビリティー目標の達成でIT部門の役割が拡大する
サステナビリティーへの取り組みが強化されるにつれ、IT部門は企業のサステナビリティー目標を達成するためにますます重要な役割を担うことが求められる。IT部門では従来、エネルギー効率に関して部門内での最適化のみが求められてきた。しかし現在では、IT部門は会社全体のエネルギー効率を改善する能力を有し、改善する義務を負うという認識が高まっている。
- サステナビリティー目標の達成におけるITの役割拡大を受け、最高技術責任者(CTO)、最高デジタル責任者(CDO)、サステナビリティー責任者の間の協力関係が強化される
- 速やかな効果が期待できるIT領域の一つとして、ソフトウェアの標準化が挙げられる。エネルギーの90%が非効率なソフトウェアによって浪費されているという分析もある
AI分野を中心に新たな人材不足が発生する
新しいテクノロジーが登場するたびに、その分野の人材やスキルのニーズが高まる。生成AIも例外ではなく、人材争奪戦によって給与は上昇し、人材不足のために多くのAIプロジェクトが停滞するリスクが生じる。
- 生成AI以外にも、クラウドコンピューティング、「Kubernetes」、データアーキテクチャー、サイバーセキュリティなど、現在注目されている分野においても人材不足が続く
- 従来はテクノロジー主導型でなかった農林水産業などの業界でも、データ分析へのシフトが進むにつれて、このような人材争奪戦が起こることが予測される。IoT、データ分析、AI、環境テクノロジーの分野の専門知識・経験を持つ人材の需要が急激に高まる
- このことはAIの普及拡大の障壁となると考えられる
ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長の田中良幸氏は、「2024年の日本市場において、テクノロジー導入の意思決定を左右する主な要因として、財務面の柔軟性、データセンターのモダナイズ、サステナビリティー目標の達成が挙げられる。AIの導入も大きな推進力となるだろう。Pure Storageは、テクノロジーと専門知識の提供を通じて、日本の企業における課題の解決およびビジネス機会の最大化を支援する」とコメントする。